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科博の「宝石展」美しいジュエリーを前におしゃべりが止まらない/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2022.03.04 16:00 最終更新日:2022.03.04 16:00
国立科学博物館(上野)の特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」(~6月19日)が、大人気です。
宝石が嫌いという人はいないでしょう。でも、科博と聞いて、展示が地学の授業みたいだったらどうしようと、少し心配しながら出かけ、結局3時間以上も真剣に見入ってしまいました。
全5章からなる展示のうち、前半3章は宝石の科学。「人類が宇宙へ飛び立ち、深海に潜ることができる現代にあっても、地球深部に到達する術はなく、そこは謎に満ちています」という説明文がありました。研究者にとって宝石は、地球深部の情報を伝えてくれる「地球からの手紙」であると。そんなふうに考えたことはありませんでした。
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宝石の原石は地下深いところ、地表より高温・高圧の環境で、長い長い年月をかけて化学反応や融解、結晶化を繰り返してできたと聞くと、原石を見る目も変わります。
宝石の原石は、含まれている母岩によって、どのように宝石になるのか、大まかなプロセスを推定できるそうです。たとえば火成岩、つまりマグマが冷えて固まった岩石からはダイヤモンド。地下深く、100℃を超える熱水脈からはアメシストや水晶が見つかります。
そんな原石誕生の神秘から、採掘、成形、研磨技術、さらに、原石(ラフ)、裸石(ルース)をメインに200種を超える宝石を見ながら、価値の基準になる「輝き」「煌めき」「彩り」「強さ」について紹介が続きました。
後半は、こんな普段着でよいのかしら、と後ずさりするような宝飾コレクションが並びます。第4章は、フランスの「ヴァン クリーフ&アーペル」と日本の「ギメル」所蔵のジュエリーです。ヴァン クリーフのジュエリーは、ゴージャスでまばゆい輝き。ギメルは日本ならではの、繊細で季節感あふれる美しさです。
科学者はこの美しいジュエリーを見て別の興味を持つようです。トラピチェ・エメラルドと呼ばれる、歯車のような模様のついた宝石を甲羅に見立てたギメルの亀のピンについて、「なぜこのような模様が入ったエメラルドができるのか、成因の詳細は謎に包まれたまま」と記されています。同時に、稀にしか生まれない貴重な宝石も、見事なジュエリーにしてしまう宝石職人の「仕立て」にも感心します。
第5章は宝飾コレクションで有名なアルビオン アート所蔵のティアラをはじめとする圧巻のコレクション。音楽の演奏でよく使われる「超絶技巧」という説明書きが添えられていましたが、宝石にもこの表現が当てはまることがわかりました。
さて、会場はずいぶんとにぎやかです。女性ばかりでなく、老若男女いろいろな方がお見えでしたが、みなさん、よくしゃべりながら見学しているのです。日本最大級のアメシストドームのような巨大な石以外は、たいていガラスケースにはりついて観ることになりますが、いろいろな会話が聞こえてきて、思わず吹き出しそうになります。
「いやー、すごい!」「大きい!」「綺麗!」「やばい!」などという歓声は聞こえても不思議ではないですが、「私に合う指輪はどれかなぁ?」と尋ねる女子に「何もない(笑)」ときっぱり答える女子。「こういうのを買ってくれる人と結婚しなさい」と真顔で娘に話すママ。「えーな、これ。欲しい!」とあえて聞こえよがしにつぶやく彼女に、「自分で買ったら」とそっけない彼。「中華系の人は翡翠が好きなんだよね」と女性に熱心に語る男性もいました。
宝石は古代エジプトの時代から魔よけやお守り、地位や立場を示すシンボルであり、宝飾品として身につけるものだからでしょうか。このティアラをかぶっていたのはどんなお姫様かしら、自分だったらこの宝石をこうやって使いたいな、いったいいくらするのかなどなど、欲望と現実が交錯して、黙って見ていられなくなるのかもしれません。
ご一緒したジュエリーデザイナー「ヒマリ(HiMARI)」の澁澤博子さんは、「宝石って、つける人の記憶に残り、モノとしても永遠に受け継ぐことができる。形を変えれば、また新しい光を放つのが魅力だと感じています」と話していました。
多種多様な宝石が存在するのは、水のある地球だからだそう。素晴らしい宝石をたくさん見せられた私は、小さな「地球からの手紙」をもう一つ欲しいな、と素直に思ったのでした。
横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
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