創価学会には、本部幹部会という定期的に開催される会合がある。全国の幹部が一堂に会するもので、コロナ禍前は1000人以上が参加し、会によっては、「聖教新聞」の配達員、ドクター部、農漁光部(農業、漁業に従事する学会員)、そして芸術部も招かれることがある。登壇するわけではなく、中央の幹部の話や、海外の活動報告を聞く立場だ。
2005年1月7日、長井氏は、本部幹部会に招かれた。両隣には、氷川きよし(45)と滝沢秀明(40)の姿が。このとき、池田大作名誉会長は、長井のネタ「間違いない!」を披露したという。
「芸術部の『躍進3人衆』のような形で並ばされたんです。当時、私が急激に売れたころですね。池田氏に近い席で、相当な厚遇でした。でも私は、池田氏に小学校から大学まで70回ぐらいお会いしていたので、はっきり言って新鮮味がなかった。でも、氷川くんはおそらく池田氏に会うのが初めてで、涙ぐみながら話を聞いていました。メモは禁止だったんですが、後でレポートを出さなきゃいけないから、話をメモっていたんですよ。そうしたら、隣にいた氷川くんに睨みつけられて、『メモを取っちゃいけないじゃないですか!』って怒られてね。氷川くんは、本当に池田氏に心酔しきってましたね」
滝沢は、池田名誉会長に気に入られていたという。
「滝沢くんのお母さんは、頑張って活動していましたよ。池田氏は歴史好きでもあるので、NHKの大河ドラマ『義経』で源義経役をやったときなんか、本当に喜んでいました」
本部幹部会に3人が参加したことについて創価学会広報室に問い合わせると、「会合の内容等についてはお答えを控えております」と回答した。芸術部で、久本や岸本、柴田らを超えるベテランが、歌手の山本リンダ(71)だ。
「創価学会や公明党の集会で、士気を上げたり、対立陣営を煽るときに、彼女のヒット曲『狙いうち』がよく歌われるんです。サビをみんなで合唱して、対立候補や学会内の『仏敵』とされる人たちの名前を挙げて、最後に『お前は絶対、地獄行き。ヘイ!』と、みんなで叫んで盛り上がるんです」
ミュージシャンの学会員として、ほかに長井氏が挙げたのが、TM NETWORKの木根尚登(65)だ。
「木根さんはセミナーにも熱心に来ていましたが、一人だとちょっと盛り上がりに欠ける。ボーカルの宇都宮隆さんも一応学会員で、『なるべくセットで』という頼まれ方をしていました。いちばん盛り上がるのは、小室哲哉さんが来たとき。小室さんは学会員ではないんですが、木根さんのよしみで参加してくれたんです。小室さんは『俺はこの宗教、わからないけど、みんな目がキラキラしていていいよね』と言ってくれたそうです。小室さんは“理解者”と呼ばれていました」
THE虎舞竜のボーカル・高橋ジョージ(64)は、かつて「創価新報」で「(生命力の)源泉は信仰であり、学会活動」と告白している。
「高橋さんは以前、テリー伊藤さんと『サンデージャポン』(TBS系)で共演していました。そのテリーさんが『お笑い創価学会』(2000年)を書いたときに、『テリーさんって、創価学会が嫌いなのかな』と心配していましたね」
芸術部のなかには創価大学出身者も多い。ナイツの塙宣之(44)と土屋伸之(44)の2人もそうだ。
「ナイツは、私が創価大学3、4年のころに設立された落研(落語研究会)の出世頭です。それまでは、創価大出身の芸人といえば、アニマル梯団の2人か、私だったんですけどね(苦笑)。土屋さんは、私が学会を批判するようになってから、一度お笑いライブで一緒になったのですが、『もう話したくない』という雰囲気で、完全に『仏敵』扱いでしたね。エレキコミックも落研出身で、学会のセミナーや公明党の講演会なんかに、いちばん出てるコンビだと思います」
吉本興業所属の芸人にも学会員は多い。過去には、「週刊文春」がかまいたちの濱家隆一を、「週刊新潮」がとろサーモンの2人を信者であると報じたことがあるが、学会員だといわれているベテランコンビと、長井氏は実際に集会でよく会ったという。
「中川家の2人は、親の影響で幼少期から学会員ですよ。意外な組み合わせですが、2人は岸本(加世子)さんと仲がいいんです。学会の会合で一緒になると、よく3人で『タバコ吸えるとこないかな』って言いながら、会場の裏のほうで一服していました」
そもそも、芸能人にとって、創価学会に入ることのメリットはなんなのか。
「テレビ番組のキャスティングで有利になるとよくいわれますけど、正直それはないと思います。制作側に学会員がいれば、バラエティに一、二度は呼ばれることはあるかもしれませんが、能力がない人は出続けられません。ドラマにしても、大役を学会の力で……というのは聞いたことがないですね」
“創価学会の華”といわれる芸術部は、あくまで“名誉職”に過ぎないようだ。それでも信仰となると、涙を流さんばかりの献身をしてしまうのだ。