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海上保安庁は女性も多いホワイト職場…キャリアの始まりは「学生なのに月15万円支給」ってホント?/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.28 16:00 最終更新日:2023.05.28 16:00
2001年12月22日、鹿児島県奄美大島沖の東シナ海は緊張に包まれていました。のちに北朝鮮の工作船と判明する不審船が発見され、海上保安庁の船が停船を命じたのですが、この船は命令を無視し逃走を続けたのです。
この逃走の間に工作船は海上保安庁の船に対し自動小銃やロケットランチャーによる攻撃をおこない、それにより海上保安官3名が負傷しました。
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海上保安庁の船はこの攻撃を受けた後、正当防衛射撃をおこなったところ、最終的に工作船は自爆し海底に沈みました。この工作船は翌年に引き上げられ、いまも「横浜海上防災基地」に隣接する「海上保安資料館横浜館」で展示されています。
今回は、横浜海上防災基地に伺い、海上保安庁の仕事について聞きました。
――この工作船事件をきっかけに海上保安庁の活動を知った方も多いと思いますが、この海上防災基地では、どのような活動をされているのですか?
「ふだんは各種の訓練や研修をおこなっていますが、大規模な海上災害が発生したときは、災害対策の中核拠点となります。海上にはタンカーなど危険物を運ぶ船も多いので、ここには消防船『ひりゆう』をはじめ、ヘリコプター搭載船『あきつしま』など15隻の船があります。ふだんは海の巡回をおこない、事故があれば即座に救助や消火活動に入ります。
海上保安庁は、日本全国の海域を11の管区に分けています。ここ第三管区海上保安本部は、東京湾を含む茨城県から静岡県にかけての沿岸地域のほか、小笠原や日本最南端の沖ノ鳥島周辺もカバーしています。日本の海のおよそ3分の1の治安と安全を24時間365日、守り続けているのです」
――そもそも海上保安庁にはどのような職務があるのでしょうか。
「領海の警備や治安の確保、海難救助、海上交通の安全確保、海洋環境の保全など多岐にわたります。
ドラマ『海猿』(フジテレビ系)で海難救助にあたっていたのが『潜水士』ですね。全国で総勢121人が所属する潜水士は、実際に海に潜って人命救助や財産の保護にあたります。
その上に位置するのが、ヘリコプターと連携した吊り上げ救助などを担う『機動救難士』で、10基地×9人、合計90人の部隊です。そして、いちばん上に、特殊な海難事故に対処するトップレベルの能力を持った『特殊救難隊』が存在します。1隊6人で6隊あり、統括隊長2人を合わせた38人体制です。
オレンジ色のユニフォームを着ているのが特殊救難隊のメンバーで、まさに憧れの存在。潜水士はみんな特殊救難隊に入れるよう、日々、訓練に励んでいます。
海上保安庁の仕事は、海の警察と消防の両方を兼ねていますから、訓練の内容も幅広いのです。ここには、風や波を人工的に起こせるプールや汚れた水を使って故意に視界を悪くしたプールなど、さまざまな設備が整っています」
――領海の警備や救助といった仕事はわかるのですが、海上交通の安全確保とはどのような仕事ですか?
「東京湾は1日約400隻の船が航行する世界でも有数の混雑海域なんです。東京湾には『浦賀水道航路』と『中ノ瀬航路』があって、大小さまざまな船が航行しています。危険物を積んだ船も多数航行しているので、この交通整理をうまくしないと、船が衝突・大炎上なんてことにもなりかねません」
――それで、消防船もしっかり準備されているんですね。海上保安官になるにはどうしたらいいのでしょう?
「2つの方法があります。『海上保安学校』(高卒程度:1~2年制)か、幹部養成の『海上保安大学校』(本科=高卒程度:4年制+9カ月の研修期間、初任科=大卒程度:2年制)で専門的な知識や技術を身につけることで、現場の海上保安官となれます。大学校(本科)は高校卒業から2年未満の方、保安学校および大学校(初任科)は30歳未満の方であれば応募できます。
保安学校は京都府舞鶴市、大学校は広島県呉市にあり、全員が寮生活ですが、入学金、授業料、寮費は一切不要です。また月約15万円の給与が支払われます。さらに6月と12月にはボーナスも支給されるんです」
――必要な知識や技術が学べて、卒業後も仕事に直結。さらに給与が支払われるなんて、相当な倍率ではないですか?
「確かに、ドラマや映画で話題になったころは受験者が殺到しましたが、いまは少子化の影響もあり、10年前の半分くらいになってしまいました。いまは狙い目だと思いますよ」
――女性でも応募できますか?
「もちろんです。特に海上の交通業務を担当する海上交通センターの仕事は、女性が29%を占めています。週休2日は確保されていますし、勤務時間もきっちりしているので、ワークライフバランスを成立させやすいホワイトな職場環境です」
――泳げない方はどうでしょうか?
「どんなカナヅチでも、卒業までには泳げるようになっています(笑)。海で活動する自分を守るために泳げることは大事ですので、各学校で丁寧に指導します。入学にあたっては泳げなくてもまったく心配いりませんので、志さえあれば、どなたでも」
――仕事上でつらいことはありますか? また、危険な目に合うこともあるのでしょうか?
「一度、船に乗ってしまうと、長いときは2カ月ほど家族に会えないことがあります。覚悟はしていましたが、子育てなどで家族に負担をかけてしまい、申し訳なく思うこともあります。
また、領海を守る仕事では、外国の不審船を取り締まる際に危険な状況になる可能性もあります。それでも、日本を守るため、人命を守るため、みんな真剣に頑張っています」
専門性が高く、公益のために働いている職員のみなさんは、やる気に満ちていました。志のある若い方は、チャレンジしてみてはいかがでしょう。
■マリンレジャーを安全に楽しんでいただくため、「自己救命策3つの基本」を様々な場で呼びかけています。
(1)救命胴衣の常時着用
(2)防水パック入りスマホ(連絡手段の確保)を持つ
(3)海上保安庁118番の活用
1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も
( SmartFLASH )