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世界で初めて「宇宙で乾杯」を目指す!2300万円の宇宙旅行、18年越しで実現へ/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.13 16:00 最終更新日:2023.09.12 01:10
大金を払えば宇宙旅行も夢ではない時代がやってきました。
2022年、実業家の前澤友作さんとスタッフの平野陽三さんの2人が、日本の民間人として初めて宇宙ステーションに滞在したというニュースがありました。12日間の宇宙滞在で1人あたり50億円ほどの費用がかかったそうですから、まだまだ一般人には遠い世界の話です。
それ以前では、1990年にTBSの秋山豊寛さんが世界初の商業宇宙飛行に成功していますので、日本の民間人で宇宙に行ったのは、これまでに3人しかいないことになります。
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では、4人めは誰になるのでしょうか。じつは、年内にも4人めの挑戦者が宇宙に行く可能性があります。それが、今回ご紹介する稲波紀明さんです。一体、どのようにして宇宙への切符を手にしたのでしょうか。
稲波さんは、愛知県一宮市出身。早稲田大学ファイナンス研究科を卒業後、日本IBMでSEとして活躍しました。
2005年、稲波さんが28歳のとき、ヴァージン・ギャラクティック社が募集した宇宙ツアーに応募。ラッキーなことに、たった1人の日本人枠に当選しました。旅費の2300万円を支払いってから18年間、宇宙に旅立つ時を待ち続けてきました。そして、ようやく年内にもそのチャンスが巡ってきそうな状況です。
――宇宙に興味を持ったきっかけは何だったのですか?
「小学2年生のとき、ハレー彗星が76年ぶりに地球に接近するというニュースを聞いて、家族でプラネタリウムに出かけ、望遠鏡で本物を見たんです。それまで星は丸いと思っていたのに、細長いしっぽがついていたのが印象的でした。これが宇宙に興味を持つきっかけとなりました」
――2300万円は大金ですが、28歳のときにすでにお持ちだったのですね。
「コツコツ貯めたお金を使い切りました。分割払いできないか、カード払いできないか聞いたのですが、ドルの現金一括払いのみと言われ、がんばってお金をかき集めました。
でも、今は同じツアーが6500万円に値上がりしていますから、当時、申し込んだのは正解でした。
実は、この旅行をキャンセルすると、全額が返金されるんです。仮に今、キャンセルした場合、為替レートが大きく変動しているので、1.5倍になって戻ってきます(笑)」
――申し込みから18年ほど経っていますが、待たされている理由は何ですか?
「当初のフライト予定は2008年だったのですが、翌年、テストフライトの墜落事故があり、延び延びになっていました。もう行けないんじゃないかと思ったこともありましたが、リチャード・ブランソン(ヴァージン・グループの創設者)を信じて待ちました。
一昨年、リチャード・ブランソンみずから搭乗したテストフライトに成功し、この6月のテストフライトも問題なかったため、8月からフライトが開始されます。
私の順番は42番ですが、ひと月に2回打ち上げられる予定で、1回のフライトに4人ずつ搭乗する見込みなので、年末から年明けには宇宙に行けるのではないかと考えています。
18年前に申し込んだ人の中には、年配の方も多く、欠番が出ています。もしかするともう少し早くなるかもしれません。打ち上げはニューメキシコ州でおこなわれるので、1週間、仕事を休んで行ってきます」
――ご家族の反応は?
「2003年2月、アメリカのスペースシャトル『コロンビア号』の空中分解事故があり、その2年後に申し込んだので、親からは『どうしてお金をかけてまで、危険なところに行くの?』と反対されました。嫁は申し込み後に知り合ったので、『行ってこい』という感じです」
――宇宙に行くのにどのような訓練をされましたか?
「3日間の訓練で、無重力訓練と重力訓練の2種類があります。
無重力訓練は、飛行機に乗って高度を上げたり下げたりするのです。重力訓練は、小さい部屋がグルグル回転し、6Gまで重力加速度を上げていきます。上から下へ、前から後ろへと徐々に圧がかかっていくのですが、6Gまで上がると眼球が歪んで視野がおかしくなったり、呼吸が非常に苦しくなったりします。
また、脳に血流が行かなくなり、意識が飛びそうになることもあります。この訓練に耐えられなかった人は翌年再テストになりますが、年齢を重ねるごとに厳しくなるかと思います。
私は2007年にこの訓練をクリアしましたが、直前にもう一度、試しておきたいですね。
実は、私は20歳のときに事故に遭い、義足を使っているのですが、障害を持つ人が宇宙に行くのは、私が世界初になります。義足のぶん、体重が軽くなるので、むしろ宇宙空間には適しているのではないかと思います」
――宇宙にはどのくらいの時間で行けるのですか?
「トータルのフライトは、約3時間です。無重力状態はエンジンが止まってからのおよそ15分間で、いわゆる宇宙には5分ほど滞在できる見込みです」
――宇宙に行ってやってみたいことはありますか?
「お酒を飲んでみたいですね。ちなみに、宇宙で飲酒した人はこれまで1人もいないので、私が飲んだら世界初になります」
――不安はありますか?
「実は高所恐怖症なので、直前に怖くなるかもしれません(笑)」
――現在、経営者として宇宙ビジネスをしているそうですね。
「はい。2020年から船井総研で宇宙ビジネスを任されていましたが、2022年に独立してINAMI Space Laboratoryを立ち上げました。宇宙事業のコンサルをしています。
弊社では、来年、月ロケットを打ち上げる予定です。月に送りたいものがあれば、それを届けることができます。実際、月に遺骨や髪の毛を持っていってほしいというお客様もいらっしゃいます。今後も、さまざまな宇宙事業で、社会に貢献していきたいです」
宇宙がフィールドなら、夢は無限に広がります。稲波さんが、宇宙に飛べる日を楽しみにしております。
■宇宙に行くための3カ条
(1)宇宙に行く値段は倍以上に値上がりしている。安くなったら行こうなんて考えず、すぐに宇宙旅行に申し込む
(2)過去に宇宙に行った人で富裕層は少数派。お金がなくても宇宙に行くことをあきらめない!
(3)宇宙旅行に申し込んで20年近く待つこともある。すぐに宇宙に行けなくてもあきらめない!
撮影・石川雅之
1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も
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