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いまからでもわかる映画『キングダム』第3作は杏が演じる闇商人に注目/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.19 16:00 最終更新日:2023.09.02 23:16

いまからでもわかる映画『キングダム』第3作は杏が演じる闇商人に注目/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

「キングダム 運命の炎」ポスタービジュアル (c)原泰久/集英社 (c)2023映画「キングダム」製作委員会

 

 8月11日から13日の週末観客動員数が興行通信社より発表され、『キングダム 運命の炎』が3週連続で1位を獲得。映画館をほぼ満杯に埋める人気ですが、原作漫画も映画も見る機会がなかった方はまだまだ多そうです。

 

 私は一昨年、東京で開催された展覧会「キングダム展 -信-」を見て以来のにわかファンではありますが、黙っていられず、今回、壮大な『キングダム』の魅力を少しだけご紹介したいと思います。

 

 

『週刊ヤングジャンプ』で2006年から連載がスタートした原泰久さんの漫画『キングダム』は、2013年、第17回手塚治虫文化賞の大賞に輝き、アニメやゲームでも絶大な人気となりました。実写映画は第1作、第2作ともに最終興行収入が50億円を超えています。

 

 物語をおさらいしておくと、舞台は7つの国が覇権を争っていた春秋戦国時代の中国。紀元前245年頃のお話です。

 

 戦孤児で、奴隷の身から武功をあげて出世していく、正義感あふれる信(しん)、後に始皇帝となる秦国の王・嬴政(えいせい)といった若者たちが、乱世を生き抜いて新しい時代に踏み出そうとする息吹が熱く描かれます。

 

 登場するキャラクターは、歴史書『史記』や『戦国策』に書かれた史実を基にしており、ほとんどが実在しています。文献の記述も、できる限り忠実に再現しているそう。

 

 昔、学校で習った始皇帝のイメージとは異なる描写も、現代の研究成果によるものと聞いて、目からうろこです。資料が残っていないところは自由に創作していると原さん自身が明かしていますが、それが、内容をより興味深くしているのは間違いありません。

 

 実写映画『キングダム』は、2018年4月のコミックス第50巻達成を記念して製作されました。 監督は佐藤信介さんで、主演の信に山﨑賢人さん、嬴政に吉沢亮さんなどキャストは超豪華。2019年に公開され、その年の邦画実写作品の興行収入1位を記録しました。

 

 天下の大将軍を夢見て、日々、剣術の鍛錬を積む信と、弟に玉座を奪われながらも中華統一を志す若き王・嬴政が出会い、2人は互いに熱き決意を胸に秘めながら、王宮奪還を目指して立ち上がります。

 

 漫画を実写映画化すると、えてしてネガティブな反応が多くなるものですが、『キングダム』では、1年にわたる脚本会議に原作者の原さんも参加し、積極的に映画に協力したことで、ファンも映画に違和感なく入り込めたようです。

 

 佐藤監督は映画のためにストーリーを再構築し、『キングダム』の「空間」を見事に具現化して、原さんを驚かせたと聞きますが、たしかに映像はとても素晴らしい。中国での大規模ロケでは、のべ1万人のエキストラが投入されたそうです。

 

 2022年7月に公開された『キングダム2 遥かなる大地へ』は、内乱を鎮圧し、玉座を奪還することに成功した信が初陣に挑み、隣国・魏との壮絶な「蛇甘平原(だかんへいげん)の戦い」が描かれます。最悪の戦況のなか、信の隊を指揮する縛虎申(ばくこしん)は、無謀にも思える突撃命令を出し……という展開。

 

 そして、今回、シリーズ3作めとなる『キングダム 運命の炎』は、さらにスケールアップ。信と王騎が初めて同じ戦場に立つ「馬陽の戦い」では、信が「飛信隊」の名を与えられ、大活躍。また嬴政の過去が明らかとなる「紫夏(しか)編」も描かれています。

 

 映画には、信と嬴政以外にも、魅力的なキャラがたくさん登場します。私が度肝を抜かれたのは、秦国6大将軍の1人・王騎を演じた大沢たかおさんのマッチョな体形と怪演です。

 

 第1作のため、17キロも体重を増やした大沢さんは、巨漢の王騎将軍そのもので、「私の知っている大沢さんと違う!」と思わず叫んでしまうほど。一度体重を戻して、第2作のため、再び20キロの増量。第3作でも、ストイックに取り組んだに違いない腕っぷしの太さを見せてくれます。

 

 女性出演者も魅力的です。長澤まさみさん演じる山の王・楊端和(ようたんわ)、軍師として活躍する橋本環奈さんの河了貂(かりょうてん)。第2作から登場した清野菜名さん演じる羌瘣(きょうかい)は、伝説の暗殺一族・蚩尤(しゆう)の1人で、特殊な呼吸法を操る「巫舞(みぶ)」によって敵を華麗に倒します。

 

 なにより、第3作の杏さんが熱演した闇商人の紫夏は、涙なしでは見られません。子供だった嬴政を全力で秦国に連れもどし、嬴政に人間としての感情を取り戻させるのです。

 

 10年前に手塚治虫文化賞大賞を受賞した当時、発行されていた単行本は30巻。「完結を70~80巻と見定め、中華統一までの創作に突き進んでいる」という原泰久さんの談話が残っていますが、7月19日に発売された最新刊は69巻で、時は紀元前233年です。

 

 歴史上、始皇帝が中国の初代皇帝になるのは紀元前221年ですから、あと12年ぶんはワクワク、ドキドキを楽しめるということでしょう。

 

 漫画、映画、アニメを行きつ戻りつしながら、『キングダム』の壮大な歴史絵巻と、人々が支えあいながら成長するヒューマンな物語を味わい続けたいと思います。

 

横井弘海(よこいひろみ)
 東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

横井弘海

東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

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