芸能・女子アナ
好調「NHK大河」出演者を悩ます謎の「8時間ルール」
芸能FLASH編集部
記事投稿日:2016.10.10 12:00 最終更新日:2016.10.10 12:00
覆面芸能ライターの黒崎健二氏が、大河ドラマの秘密に迫る!
松山ケンイチが主演した2012年『平清盛』以降、視聴率低迷が続いていたNHK大河ドラマ。しかし、今年1月にスタートした堺雅人主演『真田丸』は第2回で平均視聴率を20%の大台に乗せるなど、再び存在感を高めつつある。
かつて「芸能界で最大の名誉」と言われた大河ドラマの主演だが、視聴者には決して伝わらない裏側の葛藤を、関係者に取材した。
大河ドラマの放映期間はサイクル化していて、その年の1月にスタート、そして12月に最終回を迎える。
「撮影期間も同様で、前年の9月にスタートして、翌年の10月クランクアップというのが慣例となっています。その間、主演役者はあらかじめ先々まで予定を見込んでスケジュール管理を行っていない限り、他の仕事は絶対に入れられないほど、過密な撮影期間を過ごすこととなります」(芸能プロ関係者)
まるまる13カ月の拘束期間だが、主演の所属プロダクションからすれば、決して“オイシイ仕事”とは言えないのだという。
「『NHKのギャラは安い』というのはもはや常識ですが、実際の出演ギャラは、キー局とは比較にならないほど低額です。
例えば、キー局のゴールデン連ドラ主演で1本200万円の大物俳優が大河に主演した場合、1本のギャラはいいとこ40~50万円といった具合。“皆さまの受信料”を、いち役者や所属プロに対して、そこまで支払うことはできないという言い分ですね。
さらに二番手以降ともなると、マネジャーの交通費や雑費などを差し引くと、確実に赤字になってしまいます」(同関係者)
さらに、NHKのギャラの裁量に関しては、非常に独特なシステムが用いられているという。
「声優なんかも同様ですが、『ランク』と呼ばれるギャラ制度が存在しており、各出演者にはNHKが独自に算出した『1回あたりの出演料』があらかじめ設定されているんです。
人気や実力、キャリアなども加味されるそうですが、大きなウェイトを占めているのは“NHKでの実績”。つまり、NHKに初出演ともなると実績はほぼ皆無のため、ランクが相当低く設定されてしまうんです」(NHKスタッフ)
また、出演者サイドを悩ませるというのが、他局ではありえないNHKならではの“規則”だという。
「撮影終了後、スタッフを含めた全関係者が撤収してから、必ず8時間空けてからでないと翌日の撮影を再開できないという、なんとも不思議な規則があります。
撮影が2時間押してしまうと、翌日のスタートも2時間遅れで始まるわけで、当然スケジュールは白紙化してしまいます。
これは大河ドラマに出る上では、必ず飲まなければならない条件なのですが、こちらからすれば迷惑以外の何物でもありませんね」(芸能プロマネジャー)
拘束が長く、ギャラも安い、そしてスケジュールは不安定……まるでデメリットだらけにも聞こえてしまうが、大河で主演するメリットとは一体何なのだろうか。
「一番は“名誉”ということになると思います。日本全国で1年間放送されるドラマの顔を張れるわけですからね。ビジネス的観点から言えば、“大河主演”という肩書を得たことで、その後の仕事でのギャラアップやCMオファーなど、“お土産”に期待できる点でしょうか」(前出・関係者)
様々なマイナス要素がありつつも、それでも大河主演を志す俳優は無数に存在する。その対価は不透明な部分も多いが、夢を与える芸能人という職業上、何よりも重要なことなのかもしれない。