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フェイスブック創業者、ラーメン店と寿司屋に巨額の寄付
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.05.16 11:00 最終更新日:2020.05.16 11:00
フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ夫妻が、シリコンバレーのレストラン8店舗にそれぞれ10万ドルずつ寄付をした。日本円に換算すると1店舗あたり1000万円強だ。そのうち3店舗が日本食レストランで、2つが寿司屋、もう1つはラーメン店である。
シリコンバレーは全米で最も早い3月17日から行動制限をしており、レストランは客を店内に入れることができず、店頭でのテイクアウトのみ許されている。営業していない店も多い。
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怒髪天ラーメン&タパスは、行動制限下で、10名近いシェフに日替わりで出勤してもらっている。連日営業を続けるものの、売り上げは激減しており、人件費もままならない状態だった。そのため、これまでなかった店のウェブサイトを自身で立ち上げ、店頭ピックアップのオーダーもオンラインでできるようにするなど奮闘していた。
そんななか、ザッカーバーグ本人からレストラン宛に寄付を打診するメールが届いたという。同店のマネージャー・アルバ聖子さんは、「最初は詐欺メールだと思った」と記者に話す。
メールの内容は、「今の困難な時期に、お店と地域の両方を一緒にサポートできないか」というもの。具体的には、寄付を受けたレストランが、医療従事者たちに無料でランチを差し入れるという話だった。
夫妻が運営する慈善団体は、教育、科学、テクノロジーなどある程度決まった分野に寄付を続けている。新型コロナ対策の研究やWHOなどにも多額の拠出をしている。ザッカーバーグ夫人のプリシラ・チャンは医師で、逼迫しているレストラン業界と医療事業者の両方を助けようという意図なのだ。けっして、金持ちの気まぐれから寄付したわけではない。
行動制限前のアメリカはラーメンブームで、入店まで並ばなくてはならないことも多かった。ザッカーバーグ夫妻も、来店した際はお店のウェイトリストに名前を書いて、順番待ちをする。店内は木製のテーブルと椅子が並んでいるだけで個室はなく、夫妻とも入店後は他の客と肩を並べてラーメンをすする。
かつてスティーブ・ジョブズもそうだったが、彼らは特別扱いを求めず、また周囲の客も妙に騒ぎ立てたりしないのがシリコンバレーのルールだ。店側はなるべく端の席をあけるよう配慮はするが、店を貸し切りにするような特別待遇はない。それでも夫妻は何年も店に顔を出してくれたという。
聖子さんはこう話す。
「お店は、連日周辺の病院へ差し入れを続けていて、ついに1000食を超えました。メニューは焼き飯などご飯ものが多いです。ウェブサイトから病院への寄付や、差し入れ依頼も受け取れるようになっています」
もちろん聖子さんは、自分たちの活動が夫妻の目に届きやすいように、病院へのデリバリー写真をこまめにフェイスブックとインスタグラムにアップして、アピールも忘れていない。寄付文化が根づいている、アメリカならではの話だ。(取材・文/白戸京子)