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相模原19人殺害事件から見えてくる「世界の広さ」と「世間の狭さ」社会・政治 2016.07.31

相模原19人殺害事件から見えてくる「世界の広さ」と「世間の狭さ」

写真:長田洋平/アフロ

 

 大阪観光大学観光学研究所客員研究員の濱田浩一郎氏が、戦後最悪となった単独犯による殺人事件について、その背景を分析する。

 


 

 

 7月26日深夜、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」に、元職員(26)が侵入、入居者を刃物で刺すなどして、19人を殺害、26人を負傷させる事件が起きた。

 

 警察に出頭した容疑者は「障害者なんていなくなってしまえ」との供述をしているという。以前、大麻の陽性反応が出たというから、精神的に錯乱した状態だったのかもしれないが、いったいなぜ犠牲者19人という戦後最悪の殺人事件が起きたのか。

 

 容疑者は、今年2月、衆院議長公邸を訪れ、以下のような手紙を渡していたという。

 

《私は障害者総勢470名を抹殺することができます。常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。(中略)今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛い決断をする時だと考えます。日本国が大きな第一歩を踏み出すのです》

 

 大量殺人と聞いて思い出されるのが、1938年5月21日未明、現在の津山市加茂町で発生した「津山30人殺し」だ。同地に住む都井睦雄(当時21歳)という青年が、近隣住民を斧や日本刀・銃で襲撃。日本で起きた過去最大の単独犯による殺傷事件である。

 

 都井は犯行後、遺書を書き、猟銃で心臓を撃ち抜き自殺する。遺書にはこうあった。

 

「病気4年間の社会の冷胆、圧迫にはまことに泣いた。親族が少なく愛というものの僕の身にとって少ないにも泣いた。社会も少し、身寄りのない者や結核患者に同情すべきだ」

 

 病気による不遇や孤独が原因のひとつとしている。相模原の事件でも、容疑者は施設をクビになって恨んでいたというし、過去に教員を目指して挫折したとの報道もある。

 

 目を転じて、単独犯による過去最大の大量殺人は、2011年7月、ノルウェーの首都オスロ郊外の島で起きている。連立与党・労働党の集会などで銃を乱射し、爆弾を破裂させ、77人が殺された。

 

 このときの犯人(当時32歳)も、「イスラムによる乗っ取りから西欧を守る」「信念ある1人の人間は自己利益しか考えない10万人の力に値する」などと自己を正当化し、犯行に及んだ。

 

 3つの事件に共通するのは、病気や失業など挫折に苦しむ若者が、その不満を「社会正義」に置き換え、自らの正当性を声高に主張して犯行に及んでいる点だ。

 

 だが、この3つの事件で、唯一「津山30人殺し」だけが異なる点がある。津山事件は全戸数22戸という狭い集落で起きた。肺病だった犯人は村人から忌避され、女性関係の噂などに悩んだ末、近隣の11戸を襲撃した。時代背景を考えれば、犯人はこの狭い世界から抜け出すことは困難だったと推測される。

 

 事件は後に横溝正史の『八つ墓村』のモデルになるのだが、犯人を日本的な村社会の犠牲者とする見方もあった。

 

 ひるがえって、現在、こうした村社会や閉鎖社会は世界中からほぼ消滅している。イスラム国のテロを見ても、グローバル化によって、世界中からテロリストが集まり、地球のあらゆるところで事件を起こしている。

 

 しかし、相模原市の事件も、オスロの事件も、犯人は「いまいる場所」から逃げず、ひたすら自己の殻にこもったうえで、最後に感情を大爆発させている。

 

 ここからわかることは、確かに世界は広がったが、一方で人間の心がどんどん閉鎖的になっているということではないか。かつてインターネットによって世界は広くなったといわれた。だが現実は、環境の変化に背を向け、ひたすらタコツボ化していく閉鎖社会の誕生だったのだ。

 

 今後、さらに世の中が変化していくことを考えると、同種の事件は何度となく繰り返されていくのだろう。

 


(著者略歴)

濱田浩一郎(はまだ・こういちろう)

 1983年生まれ、兵庫県相生市出身。歴史学者、作家、評論家。現在、大阪観光大学観光学研究所客員研究員。現代社会の諸問題に歴史学を援用し、解決策を提示する新進気鋭の研究者。著書に『日本史に学ぶリストラ回避術』『現代日本を操った黒幕たち』ほか多数

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