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アメリカで激化する「反マスク運動」ついには銃撃戦も

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.06.30 16:30 最終更新日:2020.06.30 16:30

アメリカで激化する「反マスク運動」ついには銃撃戦も

マスク着用が必須の店も多いが…

 

 アメリカにはマスクを毛嫌いする人がたくさんいる。

 

 新型コロナウイルス感染者数と死者数が世界でいちばん多く、現在もその記録を更新中にもかかわらず、マスク着用は「個人の自由」という立場の人が多い。

 

 

 トランプ大統領もメディアの前でマスクをつけないが、マスクを強制されることは個人の自由の侵害、あるいは政治的な信条ともされ、「反マスク」の抗議デモも時折開催される。

 

 時には宗教的理由や医学的事情からマスクができないと主張し、「マスクしないことを許可する」と役所が発行したかのような偽の「マスク免除カード」まで流通している。

 

 そして、マスク規制に関する怒りの矛先は、保健当局の担当者や店の従業員たちに向けられる。SNSには、マスクをしないがために入店を拒否された人々が、雄牛のように怒り狂う姿が次々とあげられている。


 ある女性は、ショッピングカートの中の物を次々とあらゆる方向に放り投げ、ある女性はわざと人の顔に向かって咳をし、ある女性はひたすらわめき散らす。こうしたヒステリックな女性たちは、ネット上で「カレン」とあだ名で呼ばれている。

 

 男性の場合は「ケン」が一般的なようだが、カレンほど一般的な言葉ではない。


 サンディエゴのスターバックスで働くレニン・グティエレスさん(24)は、マスクなしで現れた「カレン」に「マスクはあるの?」と質問したところ、弾丸のようにののしられた。

 

 店内ではマスク着用がルールというパンフレットを見せることもできなかったとCNNに語っている。

 

「カレン」はレニンさんの写真を撮ると、「これが私のオーダーを取らなかったスターバックスの店員よ。次回はマスク免除カードを持って、警察と一緒に待ち伏せしてやる」と自身のフェイスブックに載せた。

 

 このポストには13万件以上ものコメントが寄せられたが、その多くがレニンさんを支持するものだった。

 

 正しいことをしているレニンさんに「チップを払いたい」というコメントがあり、それを見た男性が寄付ページを作成したところ、その日のうちに50万円以上が集まった。1週間経った29日には、7000名以上から1000万円以上の寄付が集まっている。

 

 レニンさんは繰り返し感謝を述べるとともに、そのお金を一部寄付したうえで、ダンサーになる夢を叶えたいとコメントしている。

 

 反マスク運動が過激化するなかで、マスク着用をめぐって銃撃事件もいくつか起きており、死者も出ている。

 

 全米各地の保健担当職員も、脅迫を受けたり、自宅前で抗議デモをされたり、フェイスブックのライブ放送などをされ、個人的に警備を依頼している人が増えているという。国立アレルギー・感染症研究所の所長も、数カ月前に脅迫を受けて以来、自宅などに警備をつけている。

 

 同所長は、マスクを徹底的に拒む人は、反科学・反権威的な考えをする人が多く、コロナに対するワクチンができても拒否する可能性が高いと指摘する。これは集団免疫という観点からも懸念される事態だとCNNに話している。

 

 カレンたちの行動がどの程度影響しているかはわからないが、アメリカでは新規患者数の増加に歯止めがかからず、少なくとも12の州で経済再開の見直しがおこなわれている。カリフォルニア州やフロリダ州の一部ではバーの営業が再び禁止された。

 

 マスク義務化に対するルールも州によってまちまちだが、カンザス州では来月から公の場でマスクを義務づける条例が施行される予定である。(取材・文/白戸京子)

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