社会・政治
潰瘍性大腸炎で辞任表明した安倍首相「10の迷言」を振り返る
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.08.28 19:45 最終更新日:2020.08.29 07:34
8月28日、安倍晋三首相が記者会見を開き、辞任を発表した。持病の潰瘍性大腸炎が再発し、職務の継続が難しいと判断したという。会見の場に立った安倍首相は、「わたくし自身の健康上の問題についてお話をさせていただきたい」と前置きし、こう続けた。
【関連記事:安倍首相「もう疲れた…」9月解散説で浮上する「麻生再登板」】
「本年6月の定期健診で(持病)再発の兆候が見られると指摘を受けました。その後も薬を使いながら全力で職務に当たってまいりましたが、8月上旬には再発が確認されました。
病気と治療を抱え、体力が万全でないなか、大切な政治判断を誤ること、結果を出さないことがあってはなりません。国民の皆様の負託に、自信をもってこたえられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断いたしました」
次期首相が決まるまで、治療を続けながら職務に当たる。その後については、「一議員として、新体制を支えていきたい」と語った。
安倍首相は、今月に入り、17日、24日と続けて慶応病院を訪れており、体調が不安定であることが報じられた。第1次政権時は、2007年7月の参院選での大敗後に体調が悪化し、その後1年ほどで退陣している。今回も、2021年9月末までの任期が残るなか、任期途中での辞任となった。
2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来、連続在任日数が8月24日で2799日となり、佐藤栄作元首相を抜いて歴代1位となったばかり。長らく高い支持率を誇ったが、その一方、国会や会見で問題発言や珍回答も数多く見受けられた。
以下、安倍首相がこれまでに発した10の「迷言」を振り返る。
●「中国の拡声器だ」
2002年5月21日、中国・瀋陽の領事館内連行事件について、民主党の調査団が中国寄りの報告を出したことに言及
●「私を右翼の軍国主義者とお呼びになりたいなら、どうぞ」
2013年9月、ニューヨークでおこなった講演で、中国の軍事予算拡大に言及。日本の防衛予算増額幅はわずか0.8%だとしたうえで発言
●「状況はコントロールされており、東京にダメージは与えない」
2013年9月、ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会総会での招致演説。福島第1原発の汚水漏れに関する発言だ。その後、東京電力の技術顧問が「今の状態は、コントロールできていないと考えています」と発言している
●「日教組、ニッキョーソ、日教組どうするんだ」
2015年2月9日の衆院予算委員会。民主党の玉木雄一郎議員の質問に対し、突然、安倍首相がヤジを飛ばした。みかねた大島理森予算委員長から「総理も、ちょっと静かにしてください」と注意される事態に
●「月給25万円のパート」
2016年1月8日の衆院予算委員会で、「アベノミクスで実質賃金が下がった」との批判に対するたとえ話。安倍首相は「景気回復でパートが増える。私(の給料)が50万円で妻が25万円なら75万円」と説明したが、「月給25万円のパートなんていない」と批判の声が
●「森友学園は素晴らしい」→1週間後には「しつこい」
2017年2月17日の衆院予算委員会で、安倍首相は「妻から、森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いております」と言及。しかしその1週間後、24日の衆院予算委員会では「非常にしつこいなかにおいてですね……何回も何回も熱心に言ってこられるなかにあってですね」と評価を一変させた。
●「本当に悪だくみしようとしたら、そんな写真なんか出しませんよ! 3秒ぐらい考えればわかること」
2017年6月5日の衆院・決算行政監視委員会にて。安倍首相と加計学園理事長の加計孝太郎氏らが並んで写った写真を追及された際の答弁
●「こんな人たちに負けない」
2017年7月1日、東京都議選最終日。JR秋葉原駅前で、安倍政権に批判的な群衆からの「安倍やめろ」コールに対し叫んだ言葉
●「財務省や国土交通省から適切と報告を受けていた。私が調べて、私が『適切』と申し上げたことはない」
2017年11月28日、森友学園への国有地大幅値引き問題について会計監査院が「値引きの証拠が不十分」と報告したことをうけて発言。責任逃れと批判を浴びた
●「天皇、皇后両陛下には末永くお健やかであらせられますことを願っていません」
2019年4月30日におこなわれた「退位礼正殿の儀」における国民代表の辞での発言。漢字表記の「已む」が読めず、「願ってやみません」と読むところを誤読したと報道された(首相官邸ツイッターは否定)
2013年の総選挙で、自民党の圧勝を確信した麻生太郎氏は、安倍首相に「あなたは歴史上にない独裁者になりますよ」とささやいたという。安倍首相は独裁者だったかのかどうか、それこそ「国民の皆様がご判断されること」なのだろう。