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新型コロナ「後遺症」と「差別」階段の上り下りだけで息が…
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.09.03 06:00 最終更新日:2020.09.03 06:00
2020年8月下旬の時点で、日本国内での新型コロナウイルスの累計感染者は、6万5000人を超えた。日を追うごとに増え続ける感染者数だが、注目したいのは退院者の総数。すでに、およそ5万2000人以上が、症状が回復して退院している。
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そうした “元感染者” たちは、どのように暮らしているのか。本誌が彼らを訪ねると、現在も後遺症に苦しめられるばかりか、職場はおろか家庭でも、“排除” され、「感染」の事実を言えない日々を過ごしていたーー。今回は、美容師の女性・Aさん(37)の話を聞こう。
「郷里の親戚には、半年以上は帰省しないでくれと言われました」と、「コロナ差別」の経験を語ってくれたAさん。
「5月上旬に、急に発熱しました。もともと扁桃腺炎になりやすいし、“3密” とされる場所には出入りしていないので、コロナではないだろうと思いましたが、解熱剤を飲んでも熱が下がらなくて……。
PCR検査を受けたところ、陽性反応が出て、東京・新宿区にある国立国際医療研究センター病院に入院しました。確実に効く薬がないので、免疫力を高めるしか、打てる手立てがありません。3食きちんと食べて解熱剤を飲み、ひたすら横になるだけの日々を8日間続けました」
退院後の生活は……。
「その後、平熱が3日続いていったん退院したのですが、翌日に再び発熱して再入院。それからは高熱が続き、咳も止まらなくなって、夜も眠れません。かなり重い肺炎を併発していることがわかり、承認されたばかりだったレムデシビルを投与されて、4日後に退院できました。
その後は、通院して血液検査などを複数回受けました。“協力費” として、検査1回あたり1万円もらえたのが、休職中の身にとっては唯一の救いでした。
入院中、ずっと横になっている間に筋肉が衰えてしまったようで、今でも階段を上り下りするだけで息が切れます」
「勤務先に復帰する際には、『陰性の証明書を画像で送ってほしい』と店長から言われました。ほかの従業員には、私がコロナに罹ったことは伏せられていて、両親の介護があって休んでいたということにしていたそうです。『お互いのために口外しない』と、店長と約束させられました。
親族の反応も、私にとってつらいものでした。私の郷里は東北地方の山間部にあって、閉鎖的な土地柄なんです。私の感染がわかった後に “親戚会議” が開かれて、『半年は私を帰らせない』ということが決まったと聞きました」
(週刊FLASH 2020年9月15日号)