社会・政治
菅直人元首相の定期券がヤフオクに…JR「当社が言うことはない」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.09.24 11:00 最終更新日:2020.09.24 11:00
菅義偉・第99代内閣総理大臣が誕生した9月16日、このタイミングに合わせたかのように、「菅」「定期」といった単語が、ツイッターのタイムラインを賑わせた。なんと菅氏の定期券が、ヤフオクに出品されているというのだ。ヤフオクを覗きにいくと、たしかに出品があり、商品名にはこう書いてあった。
【関連記事:なぜニッポンの野党に魅力がないのか、専門家はこう考える】
《珍品~総理大臣(当時) JR・東 定期券【衆議院選 後払い特殊扱 菅直人 都区内~JR線】》
そう、出品されていたのは、菅は菅でもスガではなく「カン」のほう、菅直人元首相(73)の、1996年の通勤定期である。なんだ、カンさんのほうか……と思ったが、元首相の定期がヤフオクに出品されていること自体、尋常ではない。そもそも、これは本物なのか……?
出品された定期券の写真をよく見ると、左上に赤字で「衆選」の2文字、「15,940円」と書かれた金額の横には、直筆で菅氏のサインがある。菅氏の事務所は武蔵野市にあり、定期券は、その武蔵野市にある吉祥寺駅発行となっている。
定期券の有効期間は、1996年10月8日から25日まで。当時の菅氏は、初の小選挙区比例代表並立制での選挙となった、第41回衆議院選挙の真っ只中。武蔵野市を中心とする東京18区から立候補し、10月20日に6回めの当選を決めた時期である。
突如ネットに出品された珍品にツイッターユーザーたちも、「どこで入手したんや!?」「これは流石にヤバいな」などと、さまざまな反応を見せ、たちまちバズる展開になった。
大田区議会議員の荻野稔氏は、「これは、本物なら衆議院議員選挙の時に貰える定期券ですね。菅直人とあるのは、菅直人候補者陣営という意味で本人が使うものとは限らないとは思います。運動員とか陣営スタッフの方が使ったものかな?」と、コメント付きでリツイート。
また、全国のJR・私鉄の鉄道ニュースや旅行記を配信するサイト『Japan-railway.com』も、この定期券について取り上げ、「これは公選法第176条に基づき発行される、選挙期間中に全線または選挙区内が行き来できる歳費法10条の特殊乗車券です。(中略)衆議院選なら候補者名義で15枚発行され、選挙活動に従事する者なら名義人以外でも使用できます」と解説した。
どうやら選挙期間中に配布された特別な定期券のようだが、気になるのは、その入手経路。同サイトでは、「JR職員が流出させたか議員事務所の誰かが返さず持っていたか定かではありませんが書き方に不審な点があるので偽造の可能性もあります」と分析している。
そうしたことを知ってか知らずか、ヤフオクでは800円から始まった入札額が、最終的に3万円台まで吊り上がり、9月20日に3万3500円で落札された。最終的な入札件数は44件だった。
菅氏の名前が記載された定期券がヤフオクで販売されている本件については、ネット上でも「個人情報の流出ではないか」と問題視する声がいくつも出た。そこで、JR東日本に見解を聞いた。
「扱いとしましては、一般の有効期限が切れた切符と一緒です。平成8年のものということもありますし、当社としましては、有効期限が切れたからといって回収するようなものでもございません。
確かに菅直人さんの名前は出ているものの、それをもって個人情報云々という部分は、当社として、どうこう言えるものではないですし、関知しようがないというところです」
なるほど、使用後にJRが回収するようなものではなく、“その後” について知りようもないということか。ヤフオクで出品されているからといって、すぐに問題視されるべきケースではなかったようだ。本誌はヤフオクにも質問を送ったが、期日までに回答はなかった。
菅(スガ)首相の誕生と同時にヤフオクを舞台にして起きた菅(カン)元首相の定期券出品騒動。それにしても、これを手に入れた人はいったい、この定期券を、なにに使うのだろうか。