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芸能人自殺連鎖に専門家「欧米のような“かかりつけカウンセラー”を」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.09.29 18:50 最終更新日:2020.09.29 18:59

芸能人自殺連鎖に専門家「欧米のような“かかりつけカウンセラー”を」

2015年10月、映画「残穢」の会見に出席した竹内さん

 

「生きていくなかで不安を感じても、『いのちの電話』などの相談窓口に電話することを、ためらう方は多いでしょう。精神科や心療内科で診てもらうのは、なおさらです。ましてや、それが世間から注目を浴びる芸能人の方となると、もっと抵抗を感じるかもしれませんが……」

 

 そう語るのは、日本自殺予防学会理事でイシクラメディカル代表の医師・石蔵文信氏(65)だ。

 

 

 俳優や女優の自殺とみられる訃報が、あとを絶たない。女優の竹内結子さん(享年40)は、9月27日に自宅で亡くなった。その1週間前の9月20日には、俳優の藤木孝さん(享年80)が、9月14日には女優の芦名星さん(享年36)が亡くなった。

 

 さらに遡れば、7月18日に俳優の三浦春馬さん(享年30)が、都内の自宅マンションで死去している。みな第一線で活躍していたさなかでの悲報だ。

 

「4人とも、すべて先の仕事が決まっていました。三浦さんはドラマ・映画の撮影が目白押しで、2021年までぎっしりスケジュールが詰まっていました。藤木さんは、2021年1月のミュージカルに出演する予定でしたし、芦名さんも、10月期のドラマ『相棒 season19』に出演していました。

 

 竹内さんは、育児のために仕事をセーブされていましたが、女優としてのオファーは数多くあったようです」(芸能記者)

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中止や延期となる仕事もあったとはいえ、活躍していた彼らがなぜ自ら死を選ぶことになったのか。前出の石蔵氏は、こう分析する。

 

「私も、俳優の方から相談を受けることがありますが、彼らは基本的に『自分は強い人間だ』と思っている傾向があります。だから、自分の気持ちが弱ったときに、人に相談してみようという発想が出てこないんです。むしろ、『自分は弱い人間だ』と自覚している人のほうが、自殺する可能性は低いのです。

 

『自分は強い』と思っているのに、予期しない不安を感じてしまうと、一転して動悸が激しくなり、不安障害を引き起こしたり、うつ病やパニック障害になってしまう場合があります。

 

 とくに最近は、ふだん忙しい芸能人でも、コロナの影響で突然、自宅にこもらざるを得なくなります。すると、何をしていいのかわからなくなり、言いようのない不安に駆られてしまうケースが出てきます。そんなとき、さらに知人の訃報を聞いたりすると、それが “引き金” となり、『私も……』という不幸な結果を招く場合があります」

 

 石蔵氏は、芸能人は日常的に相談できるカウンセラーや、“かかりつけ医” を持つべきだという。

 

「海外の俳優などは、気軽に相談できるカウンセラーを持っている方が多いですよ。ちょっとした不安や不満を持ったとき、そういった方が身近にいると、楽になりますよね。

 

 専門的な心理カウンセラーじゃなくて、行きつけの内科のお医者さんなどでもいいんです。ただの愚痴でいいから、自分の気持ちを医師に話せば、それを元に薬を処方してもらったり、その状態に合った精神科や心療内科を紹介してもらったりすることもできます」

 

 連鎖を断ち切るには、相談窓口やカウンセラーなどと話をして、ひとりで悩みを抱え込まないことが大切だ。しっかりと胸にとどめておきたい。以下では、おもな相談窓口をご紹介する。

 

●自殺予防いのちの電話
フリーダイヤル0120・783・556(16時~21時、毎月10日は8時~翌日8時)

 

●よりそいホットライン
フリーダイヤル0120・279・338 (24時間)

 

●こころのほっとチャット
LINE、Twitter、Facebook @kokorohotchat(12時~16時、17時~21時、最終土曜日から日曜日は21時~6時、7時~12時)

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