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“筋金入りの共和党支持者”ダニエル・カールが解説「バイデンさんは日本人タイプ…菅首相に似てるかも」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.11.15 20:00 最終更新日:2020.11.15 20:00

“筋金入りの共和党支持者”ダニエル・カールが解説「バイデンさんは日本人タイプ…菅首相に似てるかも」

 

「僕は筋金入りの共和党支持者なんだけど、今回の大統領選は、はっきり言ってバイデンさんが勝って嬉しいよ。今回の選挙で問われたのは、政策というより『人となり』で、人気投票みたいな側面はあったよね。今まで僕が見てきた選挙の中で一番、“感情的な選挙” でした」

 

 

 そう語るのは、山形弁でお馴染みのアメリカ人タレント・ダニエル・カール(60)。

 

 現職のドナルド・トランプ大統領(共和党)と、ジョー・バイデン前副大統領(民主党)が、熾烈な争いを繰り広げたアメリカ大統領選挙。バイデン氏が勝利を決めた今も、日本のSNS上では、トランプ氏が流す “不正選挙” などの陰謀論やデマが拡散され続ける――。

 

 米国政治に詳しく、本来ならトランプを支持しておかしくない、共和党支持者のダニエルに、2回にわたりアメリカ大統領選を解説してもらった! 今回は1回めだ。

 

 

−−バイデン氏は、アメリカではどんな人だと思われている?

 

「アメリカ人から見ると、バイデンさんは結構キャラが強いんですよ。彼は民主党の予備選で、10数人の候補者の中から選ばれたわけですよね。(エリザベス・)ウォーレンさんとか、色んな人がいましたけど、バイデンさんよりも、もっとリベラル寄りの人が多かった。

 

 でも、リベラル過ぎると大統領選の本番では勝てないから、バイデンさんが最終的に選ばれたんだと思います。あの人は長年、上院議員のトップとして活躍していて、右派からも左派からも好かれているんですよ。

 

 それからバイデンさんは、(活動家ではなく)しっかり政治家だよね。派手な人じゃないけど、表に出さずに『頼むよ!』って根回しをする。日本の菅(義偉)さんと似てるんじゃないかな。感情的にならない人だよね。

 

 そんなバイデンさんは、じつは苦労人です。子供のころはお父さんが失業したこともあって貧乏で、12〜13歳でアルバイトを始めている。子供の頃には、ハンデキャップもあったんです。日本でいう『吃音』がひどくて、うまく喋れなかった。医者に通って、トレーニングして直したんですよ。

 

 僕も子供の頃に少し吃音があったんですが、そういう経験があると、大人になっても自信が持ちにくいですよね。でも、そうはならず、29歳で上院議員に当選した。だけど直後に、ご家族が車の事故に遭って、奥さんと1歳ぐらいの娘さんが亡くなってしまったんです。

 

 そのときは上院議員を辞めようかと考えたらしいんですけど、上院の議長さんに説得されて、辞めなかった。仕事をしながら悲しみを乗り越えて副大統領までのぼり詰めたんですが、今度は5年ほど前にご長男を脳腫瘍で亡くしています。バイデンさんは、いろんなものを越えて来ているんです」

 

−−バイデン氏とトランプ氏の「人となり」の違いは?

 

「まさに真逆だよね(笑)。トランプさんは威張るタイプだけど、バイデンさんは謙虚なタイプですよね。バイデンさんは、ある種、日本人に似ていますよ。だから、2人がテレビ討論するときは、心配だった。トランプさんは、相手を面と向かって侮辱しますから、『バイデンさんはディベートで負けちゃうんじゃないかな』と思ったんですよね。

 

 でも、珍しく強気でいて、トランプさんに『黙れ!』と言っていました。ただそれは、バイデンさんが喋っているときにトランプさんが発言を遮ってきたりと、ルール違反をしたから。テレビ見ている人たちも、同じ思いだったんじゃないかな。

 

 そのときトランプさんは、吃音を克服したバイデンさんが話すときの “癖” を馬鹿にしていたんですけど、本当に失礼極まりないですよ!

 

 トランプさんは、まさに “炎上商売” の人。『不動産王』として有名ですけど、じつは不動産業では6社も倒産させていて、大失敗している。成功したのは、テレビタレントとしてですよ。リアリティーショーでいじめたり威張ったりする社長役でブレイクしたんですけど、実際の社長としては全然、成功してません」

 

−−2人の支持層は、どう違っていた?

 

「人口密度の低い地域は、ほとんどトランプさん支持。人口密度の高いところが、バイデンさん支持でしたよね。それは、経済的なものが大きいんです。言い換えれば、仕事があまりないところと、あるところ……つまり、田舎と都会の違いです。

 

 今回は、田舎と都市部でかなりわかりやすく票が割れましたよね。ざっくりいうと、同じ州でも都市部ではバイデンさんが支持され、田舎はトランプさんを支持するという分かれ方をしていました。

 

 トランプさんは、クイーンズで生まれてマンハッタンで育ったニューヨーカーで、都会っ子です。それなのに、田舎の工場で働いている人たちに支持されている。それは、演説力があるからです。テレビタレントだったから、ジョークをはさんだり、とにかく喋りで人の気を惹くのが上手いんですよね。

 

 一方、バイデンさんのしゃべりは、真面目のひと言に尽きる。インテリ層には、届くんですけどね。でも、トランプさんのしゃべりは、わかりやすくて小学生にも届くんです。

 

 ほかにも大きなところでいうと、教育の差がありますね。トランプさんのいちばんの支持者は、高卒かそれ未満。逆に大卒の人は、バイデン支持者が多いですよね。

 

 トランプさんの支持者は、そうした教育の格差もあって、陰謀論を信じやすく、投票の不正があったというデマも信じてしまったんでしょう」

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