もちろん『バイキング』にも吉田社長は、同様の説明を事前にしていた。
「『文春』で吉岡側の主張だけが大きく取り上げられたあとだったので、携帯に『バイキング』からの電話がかかってきたときは、いっそう丁寧に、現場に行った人間の話や工事の経緯、工程などを伝えました。
ですが、結局、私たちの主張はほとんど放送されませんでした。それどころか、『文春』では伏せられていた社名が、実名で出されてしまったんです」
11月10日の放送後、『バイキング』の取材スタッフから、もう一度、吉田社長の携帯に電話がかかってきた。
「そのとき、『放送内容が一方的ではないか』『疑問にはいくらでも答える』『なぜ文春でも書いていない社名を出したのか』と伝えたのですが、それっきり番組側からは、なんの返事もありません」
こうした経緯から現在、放送倫理・番組向上機構(BPO)への申し立てを検討している。ダイコウの代理人・久保潤弥弁護士は、こう話す。
「一方的な報道で社名を出され、しかも主張が反映されていない。これは公平性を欠く内容で、BPO申し立てを考えています。
また、吉岡建築設計に関しては『手配した作業員の賃金水増し疑惑』があると、ダイコウから聞いています。実際に吉岡側がダイコウに、『水増しを見逃してくれないか』と働きかける音声データもあり、詐欺罪で刑事告訴できると考えております」
これらについて、吉岡建築設計に事実確認を求めると、「(工事の経緯について)ダイコウの主張は事実ではございません」「水増し請求はおこなっておりません」と回答した。
フジテレビにも事実確認を求めると、次の回答があった。
「取材及び番組制作の詳細に関してはお答えしておりませんが、事実と異なる一方的な内容を放送したとは考えておりません。吉田社長が説明を求められるのであれば、誠意をもって対応してまいりたいと考えております」
相手の “話” に真摯に耳を傾けなければ、“ホンネトーク” という番組の売りも虚しく聞こえる――。
(週刊FLASH 2020年12月8日号)