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茨城県知事が「第2の舛添事件」、公用車の“私的利用”で水戸→浦安の宅送122km

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.12.15 06:00 最終更新日:2020.12.15 06:00

茨城県知事が「第2の舛添事件」、公用車の“私的利用”で水戸→浦安の宅送122km

 

 12月3日、午後5時過ぎのこと。千葉県浦安市の高級マンションの前に、黒のミニバンが止まった。運転手にかしずかれながら車から降りてきたのは、大井川和彦・茨城県知事(56)。しかもこの車は、県知事専用の公用車だ。

 

 水戸市にある県庁から、はるばる122km。いったいなんの公務があったのだろうかーー。

 

 

「そのマンションは、知事の奥さんと娘さんが暮らす “本宅” なんですよ。そもそも大井川知事は休みが多く、週休3日になることも珍しくない勤務状態なんですが、仕事のある日だけ、浦安市の本宅とは別に借りている、水戸市内のマンションから登庁し、休みの前の日には浦安に帰り、家族と過ごすんです。

 

 新型コロナが流行して、県民に対して外出自粛や飲食店への時短要請をしている現在も、知事は毎週のように公用車で1時間40分もかけて浦安まで行くのです。家族に会うことの、どこが公務なんですか。県民をバカにしています」

 

 そう憤るのは、県政関係者だ。茨城県出身の大井川知事は、経済産業省の官僚を経て、日本マイクロソフト執行役常務、ドワンゴ取締役などを歴任し、2017年に茨城県知事に当選したスーパーエリート。

 

 登記によると、浦安市のマンションは妻との共同名義で2004年に購入したもの。知事に就任するまでは、ここが大井川氏の自宅だった。

 

 本誌が目撃した知事の浦安への “帰宅” の翌日、茨城県では新型コロナの新規感染者数が85人と過去最多を記録した。この時期に、知事が他県に住む家族に会うという私的な目的のために、公用車を使って日常的に “越境” することなど、許されるのだろうか。

 

 茨城県知事公室秘書課に問い合わせると、当初は、「知事の住民票は水戸市にある」としたうえで、過去に公用車が浦安市まで知事の送迎をおこなったことがあると認め、こう回答した。

 

「東京都で全国知事会があるなど、公務で移動するついでに浦安へ送迎に行ったものです。基本的に、公用車で県庁から浦安市へ直帰することはないです」

 

 ところが、本誌が見た前述の12月3日は、知事が県庁を出た時間から逆算すると、知事は、県庁からまっすぐ浦安市に向かっている。あらためて知事宛に質問状を送ると、「機動性を確保し、危機管理を徹底する観点から、移動先または移動元どちらかが公務」であれば、知事が公用車をどのように使っても問題ないという認識の回答が返ってきた。

 

 だが、神戸学院大学教授で地方自治に詳しい上脇博之氏は「これは、公用車の私的利用といえます」と語る。

 

「たしかに、公用車は『公務のために使用することができる』と、茨城県の規程に定められています。では、浦安市に帰るのは、はたして公務でしょうか。

 

 登庁と帰宅を公務の一環とするとしても、あくまで住民票が置かれている水戸市の自宅への送迎に限るべきです。規程にはない『移動先か移動元が公務なら公用車を使用してもいい』という運用が許されるなら、県庁から公用車で遊びに行ってもよいことになります。つまり、このような運用は規程違反です」

 

 隣県への “帰宅” に、納得していない県議会議員もいる。

 

「知事が公用車で浦安に帰宅していることは、初めて聞きました。週休3日で、よく浦安に帰るのであれば問題です。すぐに調査したい」(日本共産党・山中たい子県議)

 

 また、別の問題点を指摘する県議もいる。

 

「茨城県は原発を抱えている県です。帰るなとは言いませんが、(浦安だと)台風や地震などが発生したとき、すぐに登庁できるのか疑問です」(立憲民主党・玉造順一県議)

 

 中央大学名誉教授で、地方自治が専攻の佐々木信夫氏も、同じ問題を指摘する。

 

舛添要一氏が東京都知事のとき、湯河原の別荘に公用車で行ったことが問題になりました。やはり危機管理上は、週末であっても災害時の県の最高責任者として、庁舎に近いところに住むべきです」

 

 2016年、舛添氏は、公用車の私的利用を含む政治資金の “公私混同” で都民の理解を得られず、知事の職を辞した。茨城県民は、理解を示すだろうか?

 

(週刊FLASH 2020年12月29日号)

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