“都議会のドン”に立ち向かう小池氏を、「党を除名されてもかまわない」との覚悟で支えた若狭勝衆院議員(59)。“自民党のドン”となった二階俊博幹事長(77)が下したのは、口頭での厳重注意という軽い処分だった。
「二階氏は小池氏と若狭氏を敵に回したくありません。そこで、みんなが納得できる落としどころとして考えたのが、公募です。公募で審査したことにすれば、若狭氏に大義が立ち、彼に反感を持つ議員もあきらめがつくからです」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)
小池氏の失職にともなう東京10区補選(10月23日投開票)の公募に若狭氏が応じ、公認された。二階氏の裁定を喜んだのが、旧田中派同門の石破茂前地方創生相(59)だ。若狭氏は石破派(水月会・20人)所属。自民党総裁選出馬に必要な推薦人20人を確保するためにも、派閥議員を増やす必要があるからだ。
8月の内閣改造で、石破氏は入閣を拒み、「ポスト安倍」の意欲を公然と示した。その覚悟を決めたのは2015年10月。
「安倍首相が突然『一億総活躍社会プラン』を発表し、加藤勝信氏を新大臣にすえた。石破氏の地方創生と理念も政策も半分以上かぶるわけです。そんな大事なことを石破氏に相談もなく決めた安倍首相に対し、『もう義理を果たす必要はない』と決めました。つまり、石破氏は次期総裁選で戦うことを決意したわけです」(鈴木氏)
2012年の自民党総裁選で、小池氏は石破氏を支援。7月の都知事選では、永田町内には「小池氏のバックに石破氏がいる」という噂が立った。
「小池氏の対立候補である増田寛也氏に、石破氏が出馬辞退を迫ったという噂が流れた」(自民党関係者)
石破氏のほうが国会議員歴は長いが、年上ということから、石破氏は小池氏を「姉さん」と呼び慕っている。
「小池氏にとって“次を狙う”石破氏との蜜月関係は、官邸や自民党に対する切り札となっている。『都政に口を出しすぎるなら、国政で閣外から石破さんが動きますよ』ということ。一方、石破氏にとっても、『小池カード』は重要な1枚だ」(政治部記者)
9月4日、「いつまでも続く政権はない。その後をどうするか考えねばならない」と、自派の議員を前に語った石破氏。安倍首相の総裁任期が満了する2018 年9月を見すえ、ついに始動した。
「石破氏に、小池氏や小泉進次郎氏らとの連携について問うと、『2人にはシンパシーを感じている』と否定しませんでした。非安倍の野田聖子氏を巻き込み党内リベラル派まで支持が広が
れば、総裁選で、石破氏が勝利する可能性は十分にあります」(鈴木氏)
小池都知事とタッグを組み、石破茂は静かに安倍政権に迫る。
(週刊FLASH 2016年9月27日、10月4日号)