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スクープを連発する『週刊文春』新コンテンツビジネスへ挑戦中

社会・政治 投稿日:2021.01.14 16:00FLASH編集部

スクープを連発する『週刊文春』新コンテンツビジネスへ挑戦中

 

 週刊誌には巨額の経費がかかる。紙代、印刷代、デザイン費、輸送費、取次(雑誌・書籍の問屋にあたる)や書店への支払い、宣伝広告費、原稿料、編集部および校閲部、営業部、広告部など社員の人件費、取材経費、交通費、残業時の食事代まで、すべてひっくるめて1号あたり約1億円といわれる。

 

 

『週刊文春』編集長の仕事とは、毎週毎週、億のカネを使って大バクチを打つことなのだ。編集部員は60名弱。3つの班に分かれる。

 

 連載読物を担当するのはセクション班。「セクション」の由来は誰も知らない。林真理子のエッセイ、阿川佐和子の対談、伊集院静の人生相談、村山由佳の小説、東海林さだおのマンガ、世評の高い書評欄など、充実した読物が並ぶ。和田誠が描く表紙イラストは40年以上も続き、『週刊文春』の顔となっている。

 

 セクション班の編集者の仕事は筆者に寄り添い、励まし、褒め称え、ネタを提供し、時に疑問点や修正点を指摘することだ。親密になったほうがいいが、友人であってはならない。編集者は筆者の「才能」とつきあう。雑誌には新陳代謝が必要だ。連載はいつか終わる。永遠に続く連載などない。

 

 密かな人気企画〈淑女の雑誌から〉は、第10代編集長村田耕二の発案。新人男性社員が担当する決まりだ。女性週刊誌や女子中高生が読むティーン誌など数十冊を購入し、エロチックな記事を血眼で探して数行で抜粋し、1行の笑えるオチを徹夜で考える。


 カラーとモノクロ、両方のグラビアを担当するのがグラビア班。巻頭の〈原色美女図鑑〉は、一流カメラマンが撮影することもあって、多くの女優やタレント、モデルが登場を切望するページだ。

 

 年末年始の合併号に掲載される〈顔面相似形〉は似たもの同士の写真を大量に並べた大人気企画。11月になると、担当者は『週刊文春』誌上や社内メールでプランを募集し、雑誌や図鑑、画集、さらにはインターネットでそっくりさんを探し回る。写真に添えられる短文は、すべてグラビア班員が一晩で書く。

 

 だが、週刊誌の花形はなんといっても特集記事だ。電車の中吊り広告に大きな活字で掲げられるのは、ほぼ特集記事のタイトルである。

 

 1984年の〈疑惑の銃弾〉はあまりにも有名だ。ロサンゼルスで起こった日本人女性銃撃事件は、じつは保険金殺人ではないかという『週刊文春』(白石勝編集長)の報道は大きな反響を呼び、テレビや新聞は首謀者と名指しされた被害者の夫、三浦和義を大挙して追い回した。

 

 1989年の〈女子高生惨殺事件 第2弾 加害者の名前も公表せよ!〉は、少年数名が女子高生を監禁し暴行した末に殺害し、あげくの果てには遺体をドラム缶に入れてコンクリートで固めて遺棄するという常軌を逸した事件であり、『週刊文春』は未成年者の実名報道にあえて踏み切った。「野獣に人権はない」という花田紀凱編集長の発言は、少年法をめぐって大きな論議を呼んだ。

 

 編集部員の6割近くを占める特集班は、こうした大スクープを狙って情報を収集し、地を這う取材を続けている。

 

 毎週のように事件を追い、スクープを狙う特集班の仕事はつらい。プラン会議では毎週5本の独自ネタの提出を求められ、取材が始まれば夜を徹した張り込みや直撃取材が続き、最後には徹夜の原稿書きが待っているからだ。

 

 花田紀凱は『週刊文春』を野球にたとえる。特集は攻撃だ。誰もが驚くようなスクープで新しい読者を呼び込む。グラビアやセクションは守備だ。見て楽しい写真記事やおもしろく役に立つ読物を並べて『週刊文春』を好きになってもらい、定期購読につなげる。

 

 編集長は監督である。編集部員のそれぞれの個性や適性、得手不得手を把握し、最大限の能力を引き出すためにセクション、グラビア、特集の各班に正しく配置して、最強のチームを作り上げる。

 

 2017年、『週刊文春』にデジタル班が誕生した。従来の特集班、セクション班、グラビア班に加えて4番目の班である。班員はわずかだが、これまでのような特集班の片手間仕事ではなく、デジタルに全力を注げるようになった。

 

 デスク会議では特集班とデジタル班の間で動画撮影に関する話し合いが持たれ、取材対象を直撃する際には動画撮影チームが同行するようになった。動画を撮っておけば、紙の雑誌の写真にも、言った言わないでトラブルになった時の証拠にも使える。

 

 デジタル班が動画を『週刊文春デジタル』で公開すると、テレビ局は争って購入する。

 

「これまではテレビ局の記事使用申請に全部OKしてきました。雑誌の宣伝になるからです。でも、ワイドショーは『週刊文春』の記事だけで30分、ひどい時は1時間の番組を作る。そうなるとテレビだけでお腹いっぱいになって、雑誌は買わなくてもいいやとなってしまう。

 

 さすがにこれはなんとかしないといけない、コンテンツビジネスとして相応の対価を払っていただこうと思った。スタートしたらすぐに収益化できた。記事使用3万円、動画5万円。ひとつの番組で1回使用する時の値段です。同じ番組でも翌日もう一度使えば、その都度料金がかかるというシステムです」(元編集長の新谷学)

 

 その後、記事は5万円、動画は10万円に値上げされた。

 

「俺には自分がやりたいこと以上に、やらなくてはいけないことがあった。それが紙の『週刊文春』を中心に多角的にコンテンツビジネスを展開する週刊文春編集局の構想でした。

 

 編集部の現場はがんばっているけど、『週刊文春』の部数が下がり続けているのは事実。ではどうすればいいのか? 規模を縮小しろ、人件費も取材費も減らせ、編集部もコンパクトにしろ。そういうことじゃないだろう、と思った」(同)

 

 記事をコンテンツと捉え、多様な形で有効活用してマネタイズする。デジタルへのチャレンジはもちろん、週刊文春出版部を作って出版機能を内製化する。これが新谷の構想だった――。

 

 

 以上、柳澤健氏の新刊『2016年の週刊文春』(光文社)をもとに再構成しました。花田紀凱と新谷学。ふたりの名編集長を軸に、昭和、平成、令和の週刊誌とスクープの現場を描きます。

 

●『2016年の週刊文春』詳細はこちら

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