社会・政治
“奇跡の選挙プランナー”と呼ばれる「大竹まことの弟子」逆転2連勝の秘訣は?
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.01.21 06:00 最終更新日:2021.01.21 06:00
2020年10月、能登半島の中央に位置する石川県七尾市の市長選で、まさかの「逆転劇」が起きた。3選を目指し、圧倒的に有利とみられていた自民党が推す現職、不嶋豊和氏(71)が、立憲民主党が支援する新人の茶谷義隆氏(55)に敗れる大波乱が起きたのだ。
【関連記事:カンニング竹山を救った大竹まことのひと言ほか「大物の風格」】
茶谷陣営で、選挙参謀として選挙対策を仕切っていたのが、選挙プランナーの座間宮ガレイ氏(43)である。
「この地域は、もともと自民党が強く、県議選の際は定数2に対して自民党が3人立てているほど。それでも、1対1なら勝算はありました。しかし、途中で3人めの新人が立候補を表明。与党と野党のわかりやすい対決ではなくなり、とたんに厳しい選挙となりました」(座間宮氏・以下同)
さらに、さかのぼること1年半前、2019年4月におこなわれた石川県議選でも、座間宮氏は「逆転劇」を起こしていた。県内で唯一、与野党一騎打ちの構図となり、注目された鹿島郡選挙区(中能登町)で、国民民主党の新顔候補・岡野定隆志氏(50)が、自民現職で当選6回のベテラン・山田省悟氏(71)をわずか26票差で破ったのだ。
関わった選挙が逆転2連勝を記録した座間宮氏は、「奇跡の選挙プランナー」として、中央政界でも注目される存在となった。しかし「35歳まで、投票所に行ったことすらなかった」という。
「『選挙で世の中なんて変わらない』と思っていたんです。上の世代の人が力を持っているし、自分たちがモノを言っても、あんまり意味ないんじゃないかと」
1977年、石川県に生まれた座間宮氏は、早稲田大学法学部に入学するも、中退。お笑いの道を目指し、タレントの大竹まこと(71)に弟子入りを志願した。
「大竹さんと話していると、『酒を飲むくらいなら新進気鋭の社会学者の本を読め、外国の文学を読め』だとか、いろんなことを言われて。お笑いの中にもある、“ラジカルな考え方” っていうものを学びました」
そして、放送作家として『大竹まこと ゴールデンラジオ!』(文化放送)や『ナニコレ珍百景』(テレビ朝日系)などを担当。リサーチから台本執筆まで、ひとりでこなした。
そんな彼が政治と関わりを持ったのは、2011年の東日本大震災が引き起こした、福島の原発事故がきっかけだった。
「2012年の、民主党が政権を追われた衆院選のとき、福島県の選挙区に入ったんです。原発作業員の方々と同じ釜のメシを食べながら、一緒に選挙運動をしました。
私、ゴリゴリの原発反対派なんですが、しゃべっていると、おもしろがってくれて。互いの立場は違っても、原発問題で頑張ろうとしているという点に共感してくれたんでしょう」
その後、2013年の参院選で山本太郎氏(46)と出会い、選挙の手伝いをすることになった。
「彼の選挙では、アドバイザーとして入ったわけではないんです。私はずっと、原発に関する日米の協定を分析していたんですけど、それについて山本太郎さんと対談してくれという依頼があって。それで後援会事務所に行って番組を撮ったあと、なんとなくそこにいて話しているうち、スピーチ原稿のライティングをすることになったんです」
2017年の衆院選で、初めて地元・石川県の選挙区に参加。そして2019年と2020年には、前出の「逆転2連勝」を生み出した。現在は各地の選挙を取材して動画サイトで配信し、2017年には『日本選挙新聞』を立ち上げている。
異色の経歴をたどってきた座間宮氏に、「選挙に勝つ」ための戦略を聞いた。
「結局、選挙は “地元の人が納得して動いてくれるかどうか” なんです。県議選のときは、石川県は繊維産業が盛んだったので、機織り場だった建物を事務所にしました。雪の吹き込むなかで番をしつつ、地元の支援者とコミュニケーションを積み重ねました。
支援者さんたちに出すお茶菓子はこれがいいとか、この人はカップにたっぷり入れるコーヒーが好みだとか、細かいことに気を配ることで信頼を得るんです。どんな立派なことを言っても、信用されなければ、お願いごとはできません」
地域の人口や歴史などのデータを重視しつつも、「人として信頼されなければ、データは生きない」と語る。
「たとえば今の七尾市は、合併・編入を繰り返してきたため、有権者の暮らす地域によって、市長に求めるものに微妙な温度差があります。
合併の歴史を理解すると、その地域の人が何に誇りを持っているか、わかってきます。そうしたことを理解するため、市長選では何度も地域内を車でまわり、地元の方の感覚を理解することに努めました」
支持率が急降下している菅政権。次の衆院選、野党の復権はあるのか?
「私が枝野さんなら、『立憲民主党と日本維新の会が競合する選挙区は、どっちかに振り分けよう』という提案を、吉村さんに持ち掛けますね。野党共闘もできないようでは、政権交代なんて無理です」
野党の皆様、「逆転勝利」のプロの声を、しかと受け止めよ!
(週刊FLASH 2021年2月2日合併号)