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東京五輪は中止できない! 1年延期で「保険金500億円」受け取るも…今JOCは“無保険”状態
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.03 06:00 最終更新日:2021.02.03 06:00
「大会が開催されるかではなく、どのように開催するかについて取り組んでいる」
1月28日、森喜朗・東京五輪組織委会長(83)との電話会談に先立ち、IOCのトーマス・バッハ会長(67)はそう話し、五輪開催中止論を一蹴。森会長も、中止ではなく無観客での開催も想定していることを明かした。
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開催が現実味を帯びてきた東京五輪・パラだが、じつは中止できない別の理由が存在していた。語るのは元JOC0国際業務部参事で、1998年の長野冬季五輪招致を成功に導いた、スポーツコンサルタントの春日良一氏だ。
「組織委は五輪の延期や中止に備え損害保険に加入していましたが、東京五輪については2020年、一度延期された段階ですでに保険金が支払われています。つまり、今年あらためて中止した場合は、もう保険金は出ないのです。損失は税金として、国民が負担しなければならなくなります」
組織委が契約していた保険会社は、「東京海上日動」。同社は、東京五輪のゴールドパートナーにもなっている。同社の広報担当は、本誌の取材にこう回答した。
「たしかに特殊なイベント保険を、組織委と契約していました。延期になったとき500億円を組織委に払いましたが、この金額は保険金の上限で、今後、中止や再延期になったとしても、これ以上の金額が払われることはありません」
組織委も、すでに500億円の保険金が支払われたことを認め、「保険金は2020年12月に発表した、延期にともなう追加費用1030億円の補填に充てています」(広報)と回答。今後、新たに保険に入る予定については「現在、検討中です」(同前)とした。つまり現在、組織委は “無保険” 状態なのだ。
さらに東京海上日動に、組織委から新たな保険の契約を依頼されたら受けるかと聞くと「コメントを差し控えさせていただきます」と、やや消極的な回答が返ってきた。
このままでは “無保険” 状態で、五輪開催の可否を決定しなければならない。春日氏は「それゆえに、五輪の中止はあり得ないのです」と語る。
「五輪ほどのイベントが、開催まであと半年に迫った段階で保険にも入っていないということは、組織委には中止という選択肢はなくなったということです。これで中止になったら、膨大な損失をどこも補填してくれませんからね」
春日氏が招致に関わった長野冬季五輪でも、組織委は保険に加入していた。1139億円の予算規模に対し、万が一、中止になった場合には、約130億円をカバーする保険に加入。さらに県や市にも支援を要請することにしていたという。
「そもそも、保険金額が最大500億円ならば、今回の保険は、大会規模に比べ安すぎます。東京都も中止に備え、別に保険を契約していると思いますが、五輪が延期や中止になることなどあり得ない、と高をくくっていたのではないでしょうか。見通しの甘さが露呈していますね」(同前)
「えっ、この状態から入れる保険があるんですか!?」は、ネットでの定番ネタのひとつだが、現実で五輪組織委がこの状態とは……まったく笑えない。
写真・時事通信
(週刊FLASH 2021年2月16日号)