●経営者も国も役割を果たさぬ今、国民が主張すべきは「金よこせ!」
一方で、中西会長の炎上発言は、春闘(春季労使交渉)に関するものだった。一時は「官製春闘」と言われたように、政府も賃上げを後押ししていたが……。
「現実には、最低賃金は上がっていません。『中央最低賃金審議会』というのがあるんですが、2020年は企業のコロナ対応に気を遣って、引き上げ勧告をしなかったんですよ。
今回、連合は2%程度の賃上げを求めていますが、2020年も2021年も経営側は全然、上げる気がないですよね。労働者の生活は、ますます悪化するに決まっています」
加えて春闘では、非正規社員=最低賃金のことは、俎上にすら上がらない。
「一応、連合は『非正規社員のことにも目を配る』と、表向きは言っています。でも結局、連合も正社員が主体なので、非正規社員のことまで考えられるとは、とても思えないですよね」
もう、かつての “普通の生活” は幻なのか――。
「結局、賃金は労使の交渉で決まるので、国はあまり口出しができないんです。安倍前首相は『賃金を上げよう』と言っていましたが、結局、上がらなかった。ただ、政府は最低賃金はコントロールできます。
ところが現実には、そうした本当に必要なことはやらずに、どさくさに紛れて補正予算でGoToキャンペーンを実施したり、“国土強靭化” という名目で、公共事業に2兆円も突っ込んでいる。国民のことなんか考えていません。
解決策としては、まずは他国並みに最低賃金を上げること。あとは、非正規社員数を規制すればいいんです。たとえば竹中平蔵さんがやったような、製造業の派遣労働を真っ先に禁止して、最低賃金を引き上げるという方法が考えられます」
一方で、われわれ一般市民にも、決意が必要だ。
「コロナ禍による消費の落ち込みで、日本のGDPは2020年7-9月期に、前年比5.7%も縮小しています。これはアメリカより、はるかに大きな下落なんです。
なぜ消費が伸びないかというと、結局は消費者にお金がないんですよ。だから、みんなガマンしていないで『金よこせ』と声を上げるべきです」