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新型コロナウイルス「ワクチン」全疑問を解く…副反応は?変異株への有効性は?
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.06 06:00 最終更新日:2021.02.06 06:00
新型コロナウイルス感染症は、全世界での感染者数は1億人を超え、死亡者数は約225万人にのぼる(2021年2月3日時点)。
昨年末からイギリスをはじめとした欧米各国で、効果が期待される新型コロナウイルスワクチンの接種が開始された。
日本でもアメリカの大手製薬会社ファイザー製のワクチンが、2月15日に承認される見込みだ。同社は約1億4400万回分を供給することで日本政府と合意している。ほかに日本への供給で合意しているのは、アメリカのバイオ医薬品企業モデルナとイギリスの大手製薬会社アストラゼネカだ。
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ワクチンの感染予防効果と安全性について、昭和大学病院感染症内科客員教授で、感染症学、呼吸器病学の専門家である二木芳人氏に聞いた。
■mRNAワクチンとは
「ファイザー製とモデルナ製のワクチンはmRNA(メッセンジャーアールエヌエー)ワクチンと呼ばれ、遺伝子情報を使って作ったウイルスのスパイクタンパク質を人間の体内に投与することによって、それに対する抗体を作らせるワクチンです。
従来のワクチンには、ウイルスの活性化を失わせた不活化ワクチン、ウイルスを弱毒化させた生ワクチンがありますが、これらは卵の生きた細胞の中でウイルスを増殖させて作ります。
mRNAワクチンはまったく違う処方で、遺伝子そのものを合成して作られます。遺伝子組み換えタンパクワクチン以外で、このような遺伝子情報だけでワクチンを作るのは、初めてのケースとなります」(二木氏、以下同)
これまでの遺伝子治療の技術の成果でもあるmRNAワクチン。まったく新しい処方で開発されたワクチンにはどんな特徴があるのだろうか。
「ワクチン開発には通常7年から10年かかりますが、今回のmRNAワクチンは約10カ月で完成させました。
この種のワクチンの利点は早く、安価で作れること、大量生産ができることです。現在のようなパンデミックの状況下では有効な武器になるといえます。
ただし、従来のワクチンに比べて効果が弱いとされるので、通常複数回接種が必要となります。1回あるいは2回の接種でどれくらいの効果があるのかも未知ですので、もしかしたら3回、4回の接種となるかもしれません」
■「副反応」の発生割合
新処方のワクチンのため、臨床データが少なく、わからない部分が多い。特に心配されるのが副反応(副作用)だ。
アメリカの疾病対策予防センター(CDC)の発表によると、2020年12月14日~23日にファイザー製のワクチンを接種してアナフィラキシー(注:激しいアレルギー反応のこと)を起こした人は21人。当時接種した189万人に占める発生割合は、100万人あたり11.1人だった。
インフルエンザワクチンの同1.3人と比べると割合が高いが、CDCは「きわめてまれで、接種により新型コロナを予防する利益のほうがリスクを上回る」としている。
“ワクチンアレルギー”が強いともいわれる日本人。安全性に問題はないのだろうか。