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2度めのパンデミックを経験したアメリカ人女性、ワクチンに心から感謝

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.06 06:00 最終更新日:2021.02.06 06:00

2度めのパンデミックを経験したアメリカ人女性、ワクチンに心から感謝

アメリカで進むワクチン接種(写真:AFP/アフロ)

 

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、アメリカではワクチンの接種が順調に続いている。当初は混乱も起きたが、いまでは1日130万人以上が接種しており、すでに2700万人が少なくとも1回は接種したという。

 

 そうしたなか、カリフォルニア州に住むウルスラ・ハウスラーさん(105)のワクチン接種が大きな話題を集めた。ハウスラーさんは1月下旬、地元のメディカルセンターで接種したが、このことが報じられると、ニュースのコメント欄には「素晴らしい」「神様が彼女を守ってくれますように」といったコメントが並ぶことに。

 

 

 実は、彼女は100年前の「スペイン風邪」の大流行を経験しており、今回のコロナが2度目のパンデミックなのだ。

 

 スペイン風邪は、1918年から1920年にかけて大流行したインフルエンザで、人類の歴史上、もっとも大きな被害を出したとされる。

 

 感染者は世界人口の25~30%、死亡者数は全世界で5000万人、最大で1億人とも言われる。日本では約2300万人の患者と約38万人の死者が出たとされるが、実際には45万人だったとの説もある(国立感染症研究所「感染症情報センター」のHPによる)。

 

 1915年5月17日生まれのハウスラーさんは、当時、ドイツ・ベルリン郊外の農場に住んでいた。スペイン風邪の流行で、メイドや叔父など身近な人たちが次々と亡くなっていく。父親は、第1次世界大戦から戻ったばかりで、当時3歳だった彼女は、家族全員がこのまま死ぬのではないかと不安に駆られたという。

 

 だが、ハウスラーさんの不安は、インフルエンザ収束後も終わらなかった。なぜなら、彼女の人生は、20世紀の激動そのものと一致しているからだ。

 

 第1次世界大戦後の1919年、ドイツでは「ワイマール共和国」が誕生し、民主的な憲法の下、明るい社会が到来した。しかし、パンデミックのあと、経済は崩壊し、ハイパーインフレが起き、1930年代にはナチスが台頭した。

 

  ハウスラーさんの家族は第2次世界大戦ですべてを失い、その後、彼女は娘たちとアメリカに移住した。

 

 FRB(ニューヨーク連邦準備銀行)は、スペイン風邪による混乱がナチスの台頭と世界の右翼化につながったとの論文を発表しているが、ハウスラーさん自身も、「混乱のなかで、みんながヒトラーに救いを求めたのかもしれない」と述べている。

 

 とすると、今回の新型コロナウイルスも、当時のような政治不安に結びつく可能性は否定できない。実際、ハウスラーさんも、トランプ大統領支持者による議会襲撃のニュースを聞き、不安を募らせたという。

 

 だが、ハウスラーさんは、当時と今では時代が違うとも感じている。

 

「スペイン風邪が流行した当時はワクチンなんてなかった。でも今はワクチンで自分の命を守ることができる。当時は誰もマスクをしていなかったけれど、いまはみんなマスクもしている。私は感謝の気持ちでいっぱいよ」

 

 ハウスラーさんは、積極的なワクチン接種を呼びかけている。ワクチンによって社会不安が解消されるなら、これほど素晴らしいことはない。

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