社会・政治
小池百合子が本誌だけに語った「伏魔殿」東京都庁の問題点
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.11.03 12:00 最終更新日:2016.11.03 12:00
「自分たちの使っているお金の原資は税金なんだ、という当たり前の感覚が、決定的に欠けていると思いますね」
本誌の取材に小池百合子都知事(64)はそう吼えた。豊洲市場の盛り土・地下空洞問題、東京五輪・パラリンピックの高額費用問題……。
連日のように報じられる問題で、東京都庁が揺れている。そのなかで批判の的になっているのが、都庁に勤める職員たちだ。
「どこで誰が何を決めているのか、結局、よくわかりません。石原慎太郎元都知事が『東京は伏魔殿だ』とおっしゃいましたが、私も日々、それを体感しているところです」(小池都知事)
小池都知事は“魔窟”に斬り込む姿勢を鮮明にしている。都知事に、都庁職員の体質についてあらためて聞いた。
「彼らの体質は、まさに指示待ちで、よけいなことはしません。よけいなことをして失敗したら、公務員の道から外れるというわけです。
また都庁にも専門家がいるはずなのですが、『現場感』を失ってしまったがゆえに、業者の言いなりになってしまう、というケースが、けっこう目につきます。だから、たとえば業者から『これが設計図だ』と言われると、それに唯々諾々と従ってしまうんです」
まさに現場を知らない「殿様官僚」たち。彼らを丸め込むのは、造作もないということか。
なかでも問題視されているのが、都庁職員の「隠蔽体質」。豊洲市場に関する資料について情報開示請求をしても、出てくる回答はまったく情報を出さない「非開示」や、一部しか情報を出さない「一部非開示」ばかり。
都合の悪い部分は黒く塗りつぶされ、その見た目から「のり弁資料」などと揶揄(やゆ)されている。
「情報公開を請求したら、2週間以内に開示しなければならないと条例で定められています。しかし、2週間で出てくることはまずありません」
そう語るのは、日本共産党所属の吉田信夫都議。豊洲の問題で共産党都議団は多くの情報開示請求をおこなっているが、以前から吉田都議は「隠蔽体質」の被害に遭っているという。
「私が直接、調査に関わったのは、東京・晴海の五輪選手村の跡地開発問題です。都有地約14ヘクタールを民間デベロッパーに譲渡し、跡地にマンションを建設する計画なのですが、この譲渡価格が周辺相場に比べて約6分の1と、異常に安いのです。なぜ、こんな価格になったのか。そのいちばん肝心な点について開示請求をしたのですが、結果は『非開示』でした」
情報請求で開示された文書は、知事名で出される。しかし実際は、知事の決裁を受ける必要はなく、開示請求された「局」の判断だけですむのだという。
つまり、開示すべきかどうかの判断を知事がしているわけではないのだ。そのため小池都知事になってからも、「のり弁資料」はじめ、隠蔽の実情は変わっていない。
「私は評論家ではないので『伏魔殿だ』『魔窟だ』と騒いでも意味がありません。どうやってそのことを解明するか。それが私の使命です」
剛腕都知事の手によって“魔窟”の全容が明らかになる日は近そうだ。
(週刊FLASH 2016年10月25日号)