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人員不足の海自支えるステルス護衛艦「もがみ」 乗組員はわずか90人
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.03.07 12:25 最終更新日:2021.03.08 15:29
3月3日、三菱重工業長崎造船所で新型護衛艦の進水式がおこなわれた。
この日、お披露目となった新艦の名前は「もがみ」。2020年11月に進水した「くまの」に続き、2隻目となる。「もがみ」は2022年中に海上自衛隊に引き渡される予定だ。
「もがみ」「くまの」は直線を多用したシンプルなフォルムで、ふだん見慣れた船の形とは異なる。これこそが、ステルス性能をもたらす秘密なのだという。
「もがみ」の特徴を、軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏に聞いた。
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「凸凹が少ないため、非常に未来的な外観になっています。艦上にミサイルや魚雷の発射管を置かず、船内に収納したことで、相手側のレーダーに探知されにくくなりました。
ただ、ステルス性は向上しているものの、相手から完全に見えなくなっているわけではありません」
海上自衛隊は護衛艦と呼ぶが、一般的には駆逐艦のこと。実は、ステルス性を追求したことで、「もがみ」はアメリカのステルス駆逐艦「ズムウォルト」に見た目が似ている。
「ズムウォルトはもがみの約3倍も大きいので、それだけ兵装も強力です。ズムウォルトはもともと本格的な対地攻撃を想定していたものでしたが、もがみは『多機能護衛艦』として開発されました。
東シナ海や日本海の警戒監視活動に加え、有事の際は対潜戦や対水上戦、さらに従来は掃海部隊が担当していた機雷戦もできます。要は『いろんなことに使いましょう』がコンセプトなんです」
さらに、一番の特徴は「自動化」だという。
「海上自衛隊は人員に余裕がないので、なるべく少ない人数で艦も運用したい。そのため、これまで人力でやっていた多くのことが自動化されました。
たとえば、従来、周囲を監視するのに監視要員を配置していましたが、カメラを設置するなどして省人化を進めました。
結果、今まで200人前後で運用していたのが、90人くらいで済むようになったんです」
中国は、米軍にはない地上発射型の中距離ミサイルを多数配備しており、在日米軍基地を狙えるうえ、米軍の空母を攻撃できるミサイルまで開発している。
これに対抗し、米軍は6年かけて、沖縄から東南アジア一帯に対中ミサイル網を構築する計画だ。
太平洋の安定が崩れるなかで、海上自衛隊は現状に対応すべく細かいアップデートが必要になる。
「古くなったものは『更新』していこうと。車やスマホと同じように、古い設備をどんどん更新する必要があるんです。今の時代に必要な機能を追い求めた結果、今回の『もがみ』の誕生に至ったわけです」