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増加する高齢者ドライバー「半年で3回」事故でも問題なし

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.11.21 12:00 最終更新日:2016.11.21 12:00

増加する高齢者ドライバー「半年で3回」事故でも問題なし

『写真:AFLO』

 

 高齢者による交通事故が頻発している。たとえば11月11日には、東京都板橋区のコンビニに、86歳の男性が運転する乗用車が突っ込んで、店内にいた男女2名が負傷した。この事故では、「車が店内に突っ込んでから、運転手が『たばこくれ』って言ったんですよ」と驚きの目撃情報まで報道されている。

 

 多発する事故を重く見て、11月15日、政府は関係閣僚会議を開いた。

 

 安倍首相は「政府としては一連の事故を80歳以上の方が引き起こしたこともふまえ、さらなる対策の必要性について専門家の意見を聞きながら検討を進めていく」とコメント。高齢者の移動手段の確保など、生活を支える態勢の整備を進めていく方針だ。

 

 実際に高齢者ドライバーの交通事故に巻き込まれたAさんに話を聞いた。

 

「私は助手席に乗っていたのですが、直進道路を走行中に対向車が急に右折をして目の前に飛び出してきたんです。82歳の男性が運転する車との正面衝突でした」

 

 その後、救急車で運ばれた病院でAさんは驚きの事実を知る。

 

「車いすに乗って検査室に向かっていたら、男性の家族が駆けつけてきました。私が被害者だと知らずに『おじいちゃんが、また事故を起こした。半年で3回目だから、もう車には乗せない!』って話をしているんです。こちらからしたら『遅いよ』という思いがよぎり、絶句しました」

 

 その後、加害者男性は、自動車保険の交渉の場でも曖昧な発言を繰り返した。

 

「特にひどいのが『もう1台クルマがあってよく見えなかった』と平気で嘘をついた点です。事故を軽く見せたいための嘘なのか、認知が甘いのかわかりませんが……事故を繰り返した結果、悪知恵がついている感じでした」とAさんは苦笑した。

 

 Aさんは怪我も重く、仕事に復帰できるまで半年以上要したという。

 

 加害者にしても、死亡事故を起こせば1億数千万円くらいまでの補償金を払うことになるし、過失運転致死傷であれば、7年以下の懲役や100万円以下の罰金などが科される。

 

 繰り返される高齢者の事故を受け、時宗の開祖・一遍上人から数えて74代目の法主(ほっす)、時宗総本山・清浄光寺の他阿真円(たあしんえん)上人(97)が、運転免許証を自主返納したことも報道された。

 

 他阿上人は「100歳まで免許を持ちたいと思っていたが、安全運転のつもりでも、自分も事故を起こすかもしれない」と考え、返納を決意したと話した。 

 

 免許の返納だけが正解ではないだろうが、事故を未然に防ぐことが高齢者を守ることにもつながっている。高齢者を加害者にさせないためにも、法整備を含めた素早い対応が求められている。

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