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「オリンピッグ」で辞任した五輪演出統括が語っていた、椎名林檎からの「トンチが必要」アドバイス

社会・政治 投稿日:2021.03.28 06:00FLASH編集部

「オリンピッグ」で辞任した五輪演出統括が語っていた、椎名林檎からの「トンチが必要」アドバイス

 

「僕は当時61(歳)で、太田(恵美氏、コピーライター)さんが64(歳)かな。椎名林檎さんもMIKIKOさんも30代だったんですよ。僕らとは一世代違う。僕らはいなくてもよかったんです」

 

 筆者にそう語ったのは、CMクリエイターの佐々木宏氏(66)だ。東京五輪開会式に出演予定だったタレント・渡辺直美(33)の容姿を侮辱する「オリンピッグ」の企画が明らかになり、3月17日に演出統括を辞任した人物である。

 

 

 筆者は2017年8月、拙著『コピーライター、ほぼ全史』(日本経済新聞出版)の取材で佐々木氏にロングインタビューをおこなっていた。取材の本題は、稀代の広告クリエイターである佐々木氏の、クリエイティブ論を聞くこと。

 

 だが佐々木氏の発言は、ついつい前年のリオデジャネイロ五輪の閉会式の話題に脱線しがちだった。佐々木氏はリオで、東京大会へのフラッグハンドオーバーセレモニー(引き継ぎ式)の演出を担当。その興奮冷めやらぬ様子で、「僕の中でリオの経験っていうのは、ものすごい大事だった」と繰り返し語った。

 

「若い人は、ぐいぐい頑張れる優秀な人が多いけど、やっぱり丸投げされると不安がある。そこで、60(歳を)すぎた僕が、ハイブリッドの “電気の部分” として、“ガソリン的” な若者とチームを作っていくと」(佐々木氏の発言はインタビュー当時のもの。以下同)

 

 筆者の取材では、当時まだ30代だった椎名林檎(42)やMIKIKO(44)らの、若さと新鮮な発想を大いに買い、裏方に徹する姿勢を見せていた佐々木氏。東京五輪の組織委員会から、引き継ぎ式の演出の依頼があったのは2015年秋だったという。

 

「東京五輪のある種の予告編だから、広告の佐々木さんにお願いしたいんです」と言われ、「8分間のコマーシャル」と割り切った。当初の佐々木氏の演出案は、安倍晋三前首相がスーパーマリオに扮し、話題になったものとはかけ離れていた。

 

「言いたかったのは、『ピース(平和)』だったんですよ。喧嘩をやめて、喧嘩はスポーツで、と。リオの閉会式っていうより、東京五輪のテーマはピース……“平和の祭典”っていうと当たり前だけど、日本のようなヒロシマとナガサキがあって、ずっと平和を貫いている国が『ピース』という言葉を言うと、ほかの国より重いと思ったんです」

 

 それが、どういう経緯で “安倍マリオ” になったのか。

 

「テーマは『ピース』だとずっと思っていたんだけど、打ち合わせのときに、椎名林檎さんが、『トンチを利かせましょう。東京を表現するにはトンチが必要だ』と言ってくれて、ガーンと来たんです。

 

 真面目に考えすぎていたな、と。ふだんの広告だと、『おもしろいほうがいいよね』とか『それで商品をどう売ろう』とか思っているのに、やっぱり真面目な部分が出て、リオでは『どう伝えるか』とか、『これとこれは最悪、言わなきゃ』とか、そういうことで頭がいっぱいだった。

 

 やっぱりおもしろくなきゃよくないって言われたようなものですよね、『トンチ』って」

 

 そして、CMクリエイターとしての佐々木氏の本領が発揮されていく。

 

「マリオを思いついても、『閉会式はそういう場じゃないな』って言われそうなものじゃないですか。それを、『むしろここでやらないでどこでやるんだ、東京ってこんなにチャーミングで面白い街なんだ』って思ったほうがいいし、『日本の総理大臣が、なんか変わったことやってもいいんじゃないか? 安倍さん、大のゲーム好きだし』と、そういう考え方になれたんですよね。

 

 それはやっぱり椎名さんのひとこと、そして全体の演出をやってくれたMIKIKOさん(のおかげ)」と、椎名とMIKIKOへの感謝を述べたのだった。

 

「自分がいきり立って『戦争から平和へをどう表現するか』を考えていたときに、2人の女性が『鎧兜を脱ぎませんか?』と言ってくれて。今の平和のなかにある東京の立ち位置とかを、トンチを利かせた表現にしてくれた。『コンセプチュアル(をどうするか)』とか僕が言っていたところを、なんか軽くいなしてくれたんですね」

 

 佐々木氏は、そもそも東京五輪の開閉会式の総合演出の任になかった。『週刊文春』4月1日号によれば、執行責任者はMIKIKOだったが、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、五輪の1年延期が決定。

 

 大会の簡素化が叫ばれ、五輪組織委員会から式典運営を託された電通から、権限を佐々木氏に集中させる圧力がかかったという。

 

 佐々木氏は「自分一人で式典をイチから決めたい」との条件を出し、責任者に就任。ところが、自身の企画案がIOCからダメ出しされると、MIKIKO案を借用したうえ、当人を除外するにいたったとされる。

 

 報道のとおりなら、“MIKIKO降ろし”の陰で暗躍したのは佐々木氏ということになる。

 

 私の取材でも、駄洒落好きは隠れ蓑で、生真面目な面を強く滲ませていた佐々木氏。「若い者に任せろ」とまで述べていたのだが、165億円もの巨額が動き、何千人もが参画する開閉会式という大イベントを演出する魅力に、我を忘れたのか。

 

 椎名のアドバイスからギャグに振り切ってしまい、トンチならぬトンチンカンな事態を巻き起こした――というのが、彼を辞任に追い込んだ顛末ならば、氏に共感を持って取材した身として残念でならない。

 

取材/文・鈴木隆祐(ジャーナリスト)

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