菅政権の迷走が止まらない。一向に収束の気配を見せないコロナ禍に加え、長男や閣僚の接待問題が紛糾し、民心は日々、離反しているかに見える。だが、菅義偉首相(72)は思いのほか強気だ。じつはいま永田町で、「4.12解散説」がくすぶっているという。
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「内閣支持率が下げ止まったのは、新規感染者数が底を打ったからだと菅総理は考えている。4月には高齢者へのワクチン接種も始まるし、そもそも野党共闘ができてない。だから、いつやっても負けることはないと思っている」(自民党中堅議員)
3月26日夜、菅首相は早期解散に否定的な見方を示したが――。
「昔から政界では、“首相は解散時期については嘘をついてもいい” なんて言われていますし、額面どおりには受け取れませんよ。
3月中に、肝煎りの政策として進めていた携帯電話各社の格安料金プランの提供が始まり、デジタル庁設置法も成立する見通し。2021年度予算も、年度内成立が確実になりました。ここで解散総選挙に打って出ても不思議ではない。訪米直後となる4月12日前後に、解散するのでは、という見立てがあるわけです」(全国紙政治部記者)
さらに、菅首相の自信を支えるのが、“神奈川三郎” の存在だという。河野太郎行革担当相(58)、小泉進次郎環境相(39)、小此木八郎国家公安委員長(55)――。菅首相と同じ神奈川県選出で、名前に「郎」がつく3閣僚のことだ。
「だいたい土曜日、赤坂の議員宿舎に、この3人と、同じく神奈川県に選挙区がある坂井学官房副長官を呼び、会議室で食事会を開いています。
週末は、真理子夫人が横浜市内にある自宅に戻るので、総理は宿舎でひとりになってしまう。ワクチン接種担当相である河野さんからの報告を受けるのが当初の目的だったので、会議室の予約名義は “ワクチン研究会” となっています。最近では小此木さんが、神奈川県選出のほかの議員もどんどん連れてきているようです」(前出・自民党中堅議員)
官邸にスガれる相談相手がいないということなのか――。
「菅さんは、自分が “叩き上げ” だからか、“下” に見ている人間といたがる。だから、麻生(太郎副総理兼財務相)さんや、二階(俊博党幹事長)に、いちいちお伺いを立てるのは内心イヤなんだ。
自民党神奈川県連内では、菅さんの力は絶対的。典型的な世襲議員の河野や、閣僚としても実績が少ない進次郎を配下に従えていると、安堵するんだ」(閣僚経験者)
だが、首相と “神奈川三郎” の馴れ合いに、眉をひそめる自民党関係者は少なくない。ある自民党幹部は、こう明かす。
「あれだけ永田町で “変人” 扱いされた河野も、外相になったころから “脱原発” などは言わなくなった。世論調査で『次の首相にふさわしい人1位』といわれたことで、“ポスト菅” に、さらに色気を出している。
進次郎は、『気候変動担当大臣を置けば、支持率は上がります。私にやらせてください』と総理に直訴して担当相になったけど、関係省庁が混乱するだけで、『目立ちたいだけだ』と非常に評判が悪い。
小此木は、総理が若いころに秘書を務めていた故・小此木彦三郎元建設相の三男で、総理にとっては弟みたいなもの。誰も総理に意見できやしない」
2度めの緊急事態宣言こそ解除したが、“第四波” の不安が国民を覆うなか、菅首相は早くも退任後の青写真を描いている節があるという。「菅総理は、河野さんに譲りたいんでしょう」と話すのは、首相に近い議員である。
「いま総理は、多いときは一日に4回も河野さんと電話で打ち合わせをしているそうです。いずれ、河野さんを自分の後継にしたいからでしょう。
総理も今すぐ辞める気はありませんが、年齢的にも長くはやれない。だからこそ、当選同期でもある子飼いの河野さんが次期首相になる道筋をつけて、影響力を保持するシナリオを描いているんじゃないかな」
そんな魂胆で選ばれる “ポスト菅” は、悪夢としか言いようがない。
(週刊FLASH 2021年4月13日号)