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「裁判で争うのは、表現の自由」時短営業を拒むグローバルダイニング代理人弁護士が「勝機はある」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.03.31 06:00 最終更新日:2021.03.31 06:00

「裁判で争うのは、表現の自由」時短営業を拒むグローバルダイニング代理人弁護士が「勝機はある」

左から長谷川社長、倉持弁護士

 

「訴訟の行方は楽観視していません」
 本誌の取材にそう答えたのは、「弁護士法人Next」代表弁護士の倉持麟太郎氏(38)だ。

 

 倉持氏の言葉にある「訴訟」とは、3月22日に株式会社グローバルダイニングがおこなった、東京都への提訴のことだ。倉持氏は、その代理人を務めている。

 

 

 3月9日、東京都の小池百合子知事(68)は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための営業時間短縮要請に応じない飲食店について、「たび重なる要請に応じずに営業を続ける店舗については、命令などの実施に向けて必要な手続きを進めていく」と明言した。

 

 その後3月18日に、東京都が出した時短営業命令の対象は27店。そのうち26店が、グローバルダイニングの系列店だった。同社は、これを「違法」と主張し、東京都に損害賠償を求めている。代理人の倉持氏はこの裁判について、冒頭のように厳しい戦いになると予想している。

 

「日本の裁判というのは、『国』や行政に対して甘い。勝てる見込みが低いところからスタートするんです。

 

 だから今回、104円の損害賠償請求をしていますが、請求は棄却されたとしても、『違憲』の判断だけでも取りたいと思っています。『肉を切らせて骨を断つ』……それが究極の目的ですね。訴訟を楽観視はしていないですが、その判断を取れる可能性は低くないと感じています」(倉持氏、以下同)

 

 東京都への提訴の最大のポイントは、「命令を出すにあたって、『正当な理由』があったかどうか」になるという。たとえば、東京都からグローバルダイニングへの命令書や事前通知書には、この一文がある。

 

《緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の20時以降の営業を誘発するおそれがある》

 

「都は、『長谷川(耕造)社長が、SNSなどで要請に従わないと強く発信した』ことを命令の理由にしています。これは命令を出すうえで判断する、『病床がひっ迫している』などといった正当な理由とは、まったく違うんです。

 

 それに、『従う義務のない要請には従わない』という表現を規制しようとしていることが、さらに悪質です。『表現の自由』に反するうえで、より重い『内容規制』をしているんです。

 

 表現に対する規制にも『内容規制』と『内容中立規制』があります。『内容中立規制』は、たとえば『エッチな番組は深夜だけにしてください』といったように、表現の内容ではなく、手段が中立であることを規制するものです。

 

 一方の『内容規制』は、『そもそもエッチな番組はダメです』といったふうに、表現そのものの内容を規制するものです。だからこちらのほうが、より厳しく審査されなければいけません。今回の都の『発信したから』という命令理由は、明らかに『内容規制』です」

 

 倉持氏が考える “勝機” はここにあるという。

 

「僕は、命令書の《緊急事態措置に応じない旨を強く発信……》という一文は、小池都知事が頭にきて入れちゃったものだと思うんです。これについて、どう答えるか。

 

 法廷という司法の場で、政治的責任とは別の『説明責任』が課されることになります。誰がこの一文を入れさせたのかということを明らかにする展開にできたらと思います。小池都知事を法廷に立たせたいです」

 

 グローバルダイニング・長谷川社長も「営業の自由ではなくて表現の自由を争う」と話しているという。提訴を機に立ち上げたクラウドファンディングは、3月27日現在で支援額が1600万円を突破した。

 

「通常のクラウドファンディングと違って、この訴訟の場合、リターンがありません。それでも開始1日で1000万円を突破しました。

 

 また、今回の訴訟は『東京都との戦い』ですが、支援をしてくださる方々は九州、四国、中国、東海、東北……と全国から集っているんです。それだけ、今まで『命令はおかしい』と思っていたけれど、どうすることもできなかった人たちの受け皿になっているのだと思います」

 

 今後1カ月ほどで、第1回の口頭弁論が始まり、地裁での訴訟は2年近くかかると見られている。長丁場の戦いが、始まる――。

 

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