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【4月20日の話】日本初のコーヒー牛乳、1本20銭で飛ぶように売れた
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.04.20 06:00 最終更新日:2021.04.20 06:00
1923年4月20日、東海道線国府津駅で、守山乳業による瓶入りのコーヒー牛乳が、日本で初めて販売された。
守山乳業の創業者・守山謙は、農家の家に生まれながら、当時あまり一般的でなかった乳製品に目をつけて酪農を始める。はじめはバターやカゼインを製造・販売していたが、ある日、ハワイからコーヒー豆の売り込みに来ていた住田商会社長・住田多次郎に出会う。
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住田社長は、「ハワイではコーヒーにクリームを入れて飲む文化がある」と教え、コーヒーを日本に広める手助けをしてほしいと頼みこむ。守山は初めて飲んだコーヒーの苦さに驚いたが、試しにコーヒーと牛乳を1対1で混ぜてみたところ、あまりのおいしさに驚いた。
守山乳業の広報担当者がこう語る。
「さっそく商品開発が始まりますが、牛乳はもともと日持ちしないものですから、開発は難航したみたいです。そこで、守山は医師であった弟に相談したところ、煮沸消毒のヒントをもらい、1週間日持ちさせることに成功するんです。そして、日本初のコーヒー牛乳が完成しました。
商品のお披露目は、東海道線の国府津駅でした。並弁当が1箱35銭で売られていた時代に、コーヒー牛乳は20銭。決して安くない値段だったでしょうが、持ち運びできる飲み物が珍しかったこともあり、飛ぶように売れました」
その後も研究を重ね、3~4カ月の保存が可能となったコーヒー牛乳は、全国の駅で販売されるようになる。
1972年(昭和47年)に刊行された『国鉄と構内営業』という資料には、当時の東京鉄道局管内81業者の販売状況が記録されている。守山乳業のコーヒー牛乳は、1日あたり1377本も売れている。この頃には、大量生産の体制ができあがっており、1本15銭に値下げした。
「いまはコーヒー牛乳という商品自体が弊社になく、コンビニや一部スーパーで販売しているチルドカップ飲料やソフトクリームミックスが主力になっています。知らないうちに弊社の飲料を口にしている方も多いのではないでしょうか。
コーヒー牛乳は一時期復刻版を出していましたので、今後もしかしたら復活するかもしれませんが、そのあたりは未定です(笑)」(守山乳業担当者)
写真提供:守山乳業