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鳥インフルエンザ「大流行」で日本での死者38万人も

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.12.08 12:00 最終更新日:2016.12.08 12:00

鳥インフルエンザ「大流行」で日本での死者38万人も

 

 鳥インフルエンザが猛威をふるっている。

 

 11月18日に鹿児島県出水市で高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)の発症が確認されて以来、青森県や新潟県、長野県でも家禽への感染と死亡が確認された。12月5日には北海道苫小牧市で、感染した野生のハヤブサの死骸が見つかった。

 

 一度感染が確認されると、感染源となった家禽はすべて処分され、その発生源から半径5~10kmの範囲で家禽類の移動が禁止となる。

 

 新潟県では現在までに55万羽の鶏が殺処分され、青森県では農場で飼育されている食用アヒルの殺処分が行われた。

 

 今年流行しているH5N6亜型は感染力、毒性ともに強いため、政府も警戒を強めている。

 

 安倍総理大臣は連絡会議で「ことしは野鳥も含めて、例年より早く、広範囲で発生している。効果的で機動的な対応が可能となるよう指示を出しているが、引き続き、やれることはすべてやるという考え方の下、万全を期していきたい」とコメントした。

 

 このまま鳥インフルエンザが拡大していった場合の、最悪のシナリオを考えておきたい。

 

 2015年、アメリカで鳥インフルエンザが大流行した。殺処分された家禽類は4000万羽を超えたといわれ、鶏卵と七面鳥肉が高騰した。マヨネーズ、ケーキ、アイスクリームなど卵を原材料としている商品の価格も上昇した。

 

 日本でも、この先ながく流行が続けば、同様のことが起こる可能性もある。もちろん鶏卵だけではく、鶏肉の価格にも注目だ。クリスマスを前に大打撃である。

 

 日本では管理が徹底しており、鳥インフルエンザに感染した鶏肉が流通すれることはない。万が一、感染した肉を食べてしまっても、加熱や胃酸によりウイルスは消滅すると考えられている。つまり、人間が病気になる確率は限りなく低い。

 

 とはいえ、安全を重視するならば、火を通さずに食べる卵かけご飯は避けたほうが無難だ。

 

 自宅でペットの鳥を飼っているという人も要注意。完全に家の中で飼っているなら危険はないが、外に鳥かごやゲージを設置しているなら、野鳥が近くに寄ってこないようにするのが重要だ。

 

 鳥インフルエンザで最悪のシナリオは、鳥からヒトへの感染、その後、ヒトからヒトへと感染した場合だ。前述したとおり、ヒトへの感染の可能性は低いといわれているが、それはあくまでも衛生管理の行き届いた日本国内の話。

 

 ここ10年ほど、ベトナムやタイ、インドネシアなどでは鳥インフルエンザがヒトからヒトに感染したと疑われる事例が多発している。

 

 今は限られた地域だけの発症だが、わずか数時間で隣国に行ける時代、新型インフルエンザがいつ大きな流行となるかはわからない。

 

 1918年から大流行し、世界で2000万とも1億人ともいわれる死者を出したとされる「スペインかぜ」は、鳥インフルエンザが由来といわれる。このスペインかぜは日本にも波及し、約2300万人の患者と約38万人の死者が出たと報告されている(国立感染症研究所)。

 

 今は日本の一部だけに流行が見られる鳥インフルエンザだが、対策が遅れるとパンデミックを引き起こし、甚大な被害を起こしかねないのだ。

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