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盛り上がるワクチンツーリズム…アラスカ行けば空港で無料ワクチン接種

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.05.20 20:00 最終更新日:2021.05.20 20:00

盛り上がるワクチンツーリズム…アラスカ行けば空港で無料ワクチン接種

アメリカでは空港の混雑が戻ってきた

 

 ワクチン接種を受けるための旅行「ワクチンツーリズム」が各地で増えてきた。

 

 5月15日、インドの医師を中心としたグループがモスクワへ降り立った。ロシアに7日以上滞在する観光客は、PCR検査の陰性証明があれば、隔離されることなく入国できる。

 

 

 インドの旅行会社によると、医師たちは到着の翌日、ロシア製ワクチン「スプートニクV」の1回目の接種を受け、2回目を受けるまで3週間の観光をするという。24日間のツアーで料金は13万ルピー(約20万円)。今後も医師を中心としたグループの予約が続いているそうだ。

 

 観光が重要な収入源である欧州のサンマリノ共和国は、ワクチン接種とホテル滞在をセットにした外国人向けワクチンツアーを先週開始した。

 

 すでに約3万4000人いる住民の多くが「スプートニクV」を接種済み。「スプートニクV」の公式サイトによると、ワクチン効果でヨーロッパで最初にコロナに打ち勝った国になったそうだ。コロナ患者用の病棟もすでに閉鎖されており、観光客の誘致に乗り出した形だ。

 

 ツアー参加者は、キャンペーンに参加しているホテルに3泊以上滞在し、ワクチン2回分50ユーロ(約6600円)を同時に支払う。2回目の接種まで滞在してもいいし、一度帰国して戻ってもいい。

 

 ツアーの一番乗りはラトビアからの観光客で、その他にもヨーロッパやアメリカなどから予約があるそうだ。なお、「スプートニクV」は現在EUからもアメリカからも、もちろん日本からも認可されていない。

 

 一方、観光客を呼びこむため、ワクチンを外国人に開放しはじめた国も多い。インド洋に浮かぶモルディブ共和国でも、観光客にワクチン接種する準備が進んでいる。ただし、ワクチンの供給をWHOが主導する「コバックス」(国際的な共同調達)に頼っているため、ワクチン確保には時間がかかるかもしれない。

 

 こうした観光客誘致の動きはアメリカにも見られる。アラスカ州は6月1日から、州内4つの空港に到着した旅行者に無料でワクチンを提供する。

 

 これまで、夏のアラスカは観光客の3分の2がクルーズ客だった。コロナ禍で大型船のクルーズがキャンセルされ、損害は30億ドル(約3200億円)とも言われている。そこで、州は500万ドル(約5億5000万円)の予算をつぎ込んで観光客の呼び込みを始めた。

 

 ニューヨーク州では、すでに観光地や主要駅などで観光客への無料接種が進んでいる。こちらは1回で済むジョンソン・アンド・ジョンソンのワクチンである。昨年は感染爆発で大騒ぎだったニューヨークだが、患者数はすでに半年前のレベルに下がっている。

 

 アメリカでは接種の際に住所の証明を必要としない州が22州ほどある。これが、観光客でも接種が可能になる理由だ。

 

 タイでは米国主要都市にワクチンを打ちに行く10日間のツアーが1人2300ドル(約25万円)ほどだそうだ。ただし、タイ人の多くが米国への入国ビザを持っていないため、セルビアへのツアーも準備されている。

 

 アメリカの大学など、早いところはすでに夏休みに突入し、国内線は賑わいを取り戻している。ワクチンツーリズムが盛り上がれば、これから国際線の利用者も増えてきそうである。(取材・文/白戸京子)

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