6月15日、最後のオウム真理教手配犯・高橋克也容疑者(54)が、ついに逮捕された。大田区蒲田駅前にある漫画喫茶にいたところ、店員が「似ている」と気づいたことが逮捕のきっかけとなったが、駆けつけた警察は「違うんじゃないか」と職務質問ですらためらうほど消極的だったという。
せっかくの目撃情報を、なぜ警官は疑ってかかったのか。警視庁担当記者はこう話す。
「顔写真を公開してから、懸賞金の1000万円目当てに、逮捕までに約1700件という大量の情報が全国からホットラインに寄せられました。善意で寄せられた情報を無視するわけにもいきませんから、連日、捜査員は総出で1件1件の情報を検証する毎日。しかも、連日の報道で、一般からの情報は日に日に増えていったというわけです」
6月6日から8日までの3日間だけで、寄せられた目撃情報は約200件。その半数が神奈川県警に寄せられ、11日には935件に膨れあがった。投入された捜査員は全国で約5000人。しかし、なかには笑ってしまうような情報も含まれていたという。
では、具体的にどんなタレコミがあったのか——。
神奈川県警のある刑事課員が明かした。
『高橋容疑者が相模原市内をフルフェイスのヘルメットをかぶり、オートバイで八王子方面に逃げています』
『白木屋で仲間と酒を飲んでいます』
『高橋克也が川崎駅の地下街を女装して歩いています』
『横浜曙町のヘルスの待合室にいます』
『横浜のデパートのお中元売場にいる』
ガセ情報のあまりの多さに、刑事課内はパニック状態だったという。
「フルフェイスなのになんで高橋ってわかるの? 仲間って誰? お中元なんか買わないし……。もちろん、まじめな通報もありますが、こういう半分ふざけたような情報も我々は休みを返上して、すべて現場に行って確認しました。神奈川県警に限らず、ほかの警察でも同様に警官たちは走り回っていたことでしょう」(神奈川県警の刑事課員)
(週刊FLASH 2012年7月3日号)