しばしば話題になる「報道の自由度ランキング」で、日本は先進国のなかでも下位に沈む。その大きな要因が、まさにこのマスコミ自身の忖度だろう。言論統制下でも、一般市民やメディアが国に強く異議を申し立てているミャンマーよりも、誰もが押し黙っている日本の言論状況のほうが明らかに劣悪だ。
北角「帰国して感じたのは、日本のメディアの元気のなさ。オリンピックでもコロナでも、権力には逆らえないと諦めているのでしょうか。ミャンマーの現状に戻ると、事態はけっしてよくなっていない。すでに4000人以上が拘束され、弾圧によって約800人が亡くなっています。ただ、それだけ体を張って軍の圧政に抵抗しているのです」
望月「ミャンマーで抵抗している人たちは、明らかに身の危険を感じながら戦っていると思うんですが、彼らの覚悟はどこからくるんですか?」
北角「2月1日のクーデター以降、本当に普通の学生が、政治の混乱に対して怒りを感じて仲間と街頭に出ています。人々は、軍政に反対したいという強い思いを抱えている。政治犯というよりも、一般の市民が抗議して捕まったというケースがほとんどです」
望月「日本で声を上げても、北角さんのように政治犯として拘束されたり、投獄されたり、殺されたりすることもない。『共謀罪』で実際に逮捕されたこともない。それなのに、メディアは過剰に萎縮し、権力監視を怠っている。そのうちに、いつの間にか言論統制が始まっていたということになる気がしますね。
北角「僕も日本の言論状況には、危機感を持っています。当面は日本で活動し、国内の問題にも声を上げていきます」
もちづきいそこ
1975年生まれ 東京都出身 慶應義塾大学卒業後、東京・中日新聞入社。千葉、横浜支局を経て、東京本社社会部で遊軍
きたずみゆうき
1975年生まれ 東京都出身 早稲田大学卒業後、伊藤忠商事、日本経済新聞記者を経てミャンマーに渡り、フリージャーナリストとして現地メディアなどで活躍
(週刊FLASH 2021年6月22日号)