社会・政治
ミャンマーから解放された北角裕樹さん、“親友” 望月衣塑子さんに明かす「トイレ紙なし」独房生活
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.06.10 06:00 最終更新日:2021.06.10 06:00
「帰国したいまでも、家の前をトラックが通ると、一瞬、体が緊張してしまうんですよ」
およそ1カ月に及んだミャンマーでの拘束から解放され、先月帰国したジャーナリストの北角裕樹さん(45)が、現在の心境を明かした。
「それって、フラッシュバックする感じ?」と聞くのは、東京新聞記者の望月衣塑子さん(46)。安倍(晋三)政権での菅義偉官房長官との “会見バトル” で名を馳せた名物記者だ。北角さんが応じる。
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「ミャンマーの国軍のトラックの音が、耳にしつこく甦ってくるんです」
じつは、2人は学生時代からの “親友” だ。マスコミ志望だった2人が知り合ったのは、とあるマスコミ塾。読売新聞の入社試験では、席が隣同士だった。そして現在2人は、ミャンマーと日本、それぞれの国で「言論」を守るために戦う “戦友” でもある。
2人の対談は、北角さんの26日間にも及んだ「独房生活」の告白から始まった――。
北角「私がいた独房は、ヤンゴン郊外のインセイン刑務所1号棟の部屋番号11番です。レンガ造りの独房が14部屋、長屋のように並び、11人の政治犯が収容されていました」
望月「刑務所だから、やはり狭くて不自由なんでしょうね」
北角「広さは縦4メートル、横2.5メートル。タイルの床の一角に、すのこがベッド代わりに置かれ、その上にビニールシートを敷いて寝るんです」
望月「部屋にトイレはついているんですか?
北角「部屋の隅の一段高くなったところがトイレで、和式の便器があります。便器の横にタライが置いてあり、それで用を足した後の処理をするんです」
望月「トイレットペーパーを使わずに水で洗うんですか?」
北角「そもそも、トイレットペーパーどころか、チリ紙もありませんでしたから。ミャンマーでは伝統的にトイレットペーパーを使わないで、左手できれいにするんです。私はそれに慣れていたので、あまり苦になりませんでしたね」
望月「お風呂は?」
北角「風呂はありませんが、部屋から続いている中庭で、コンクリートの床の上に水を撒いてジャバジャバ水浴びをしていましたね。夜は錠がかかっているんですが、解錠されている朝7時から夕方6時の間なら、中庭に行って水浴びができます。外に菜園があるんですが、そこでほかの政治犯と話をしたり、食べ物を融通し合ったりしました」