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人が死ぬ「海釣り堤防」鹿島港・南防波堤では不法侵入で累計72人も…
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.06.11 16:00 最終更新日:2021.06.11 16:00
新型コロナウイルスの感染リスクが低いといわれていることもあり、アウトドアレジャーがブームになっている。
「釣り」もそのひとつ。
「船釣りは乗り合いでも1万円以上かかりますから、手ごろに楽しめる堤防釣りが人気です。東京湾内にある有料の海釣り施設は、入場人数を制限していることもありますが、週末は行列ができます。待ち時間が3時間以上になることもザラです」と釣りファン。
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それが理由なのか、立ち入りが禁止されている堤防や防波堤などに「不法侵入」して釣りを強行する不心得者が増加しているという。あげく、落水して死亡する事故が全国で相次いでいる。
なかでも茨城県の鹿島港にある南防波堤は「死の堤防」と呼ばれているほど事故が多い。
「4.5kmほどの長さがある堤防です。太平洋に突き出ているので魚種は豊富ですが、堤防を乗り越える高い波が押し寄せることがあります。
堤防には転落防止の柵などはありませんから、波に足をとられ海中に転落するのです。夜明け前に侵入する釣り人もいて、潮の流れも速いから、落ちたら我々では救助ができません」(同港漁業関係者)
「死の堤防」に行ってみると、そこには高さ2mほどの頑丈な門扉があり、施錠もされていた。そして門の横にある看板には「立入禁止」のあとに「既に、72名の死亡者を出す事故が発生しています」という衝撃的な文言があった。
この死亡者数は1969年の開港からの累積数だという。
「立入禁止と書くだけでは、残念ながら不法侵入は後を絶ちませんので、より厳しい表現にしました」と鹿島港湾事務所港営課の担当者。警察と連携して、陸と海から日常的にパトロールをしているそうだ。
前出の漁業関係者は「警察に連行される釣り人もいますが、まったく懲りないですね。柵を乗り越えるのは同じ顔ぶれが多い。もともと漁港内はどこも部外者立入禁止なんです。海に落ちたら海上保安署や警察、地元漁師にどれだけ迷惑をかけるかわかってるのかなあ」とあきれ顔である。
警察関係者は「立入禁止と表示されているにもかかわらず侵入すると軽犯罪法違反、錠などを壊せば器物損壊の罪に問われる可能性がある」と言う。ルールやマナーを守ってこその釣りであることを肝に銘じてもらいたい。