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3000年前に埋葬された日本人、世界最古の「サメの犠牲者」だった

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.06.25 09:20 最終更新日:2022.12.07 18:36

3000年前に埋葬された日本人、世界最古の「サメの犠牲者」だった

ホホジロザメ

 

 イギリス・オックスフォード大学が、興味深い論文を発表した。縄文時代に埋葬されたひとりの日本人が、世界最古の「サメの犠牲者」だというのだ。

 

 6月23日、学会誌『考古学の科学的研究』で発表された論文によると、岡山県の津雲貝塚から発掘された成人男性の骨を放射性炭素年代測定したところ、男性は紀元前1370年から1010年の間、つまり約3000年前の縄文時代を生きた人物だと判明。

 

 

 激しい損傷がみられたその遺骨には、のこぎりの歯のような傷が790も確認された。調査の結果、男性はサメに襲われて死亡したことがわかった。トラザメかホホジロザメの可能性が高いという。

 

 今回の研究に携わったオックスフォード大学のリック・スクルティング教授は、こんなコメントを発表している。

 

「男性は、漁をするため瀬戸内海を訪れたものと思われます。水中に潜り、貝などを手に入れようとしたのでしょう。ひょっとすると、最初からサメを捕まえたかったのかもしれません。縄文時代の遺跡からは、サメの歯がいくつか見つかっていますからね」

 

 教授は、「水中で漁をしているところを襲われたのか、サメに襲われた船からバランスを崩して海に落ちたのかはわかりませんが、小さなサメではなかったようです」と当時の状況を推測する。左手が噛みちぎられていることから、男性は生きたままサメに襲われ、必死に抵抗したと見られる。

 

 また、右足はサメに咬まれて失われていたが、ちぎられた左足は胴体の上に置かれていたため、男性はすぐに埋葬されたものと推測されている。

 

 映画『JAWS(ジョーズ)』のような、サメに襲われる事故は、実はまれなのだという。考古学的にみても、そうした例は非常に少ないそうだ。これまで、世界最古のサメの犠牲者は、プエルト・リコで見つかった西暦1000年ごろの人物だとされてきたが、研究チームは、津雲貝塚の男性こそ、世界最古の犠牲者だと結論づけることになった。

 

 サメに対する恐怖心は、縄文と令和をつないで私たちに受け継がれたのかもしれない。

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