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“安倍の秘書”も! 世襲だらけの自民党、今時の“二世候補”は「親より優秀」で意外に手強い
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.07.21 07:30 最終更新日:2021.07.21 07:30
「早ければ10月、遅くとも11月には衆院選があります。7月の世論調査では、菅内閣の支持率は30%を切ることもあり、自民党本部では、約20議席くらいは減るだろうという予測を立てています」(自民党議員のベテラン秘書)
衆院選の苦戦が予想される自民党が、一気に世代交代を図ることで、苦難を乗り越えようとしている。現職・元職の衆院議員の父を持ち、自民党公認で衆院選に初挑戦する世襲の“二世候補”たちが相次いで名乗りを上げているのだ。その再注目のひとりが、愛媛1区の塩崎彰久氏(44)。父親は、元厚生労働大臣の塩崎恭久衆院議員(70)だ。6月の引退表明を受け県連は18人の公募から選考、長男・彰久氏が地盤を継ぐことになった。全国紙の政治部デスクが解説する。
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「東大法学部からスタンフォード大学へ進み、父の官房長官時代の秘書官を経て、国際弁護士になりました。海外の複数の法務雑誌が主催する『Asia Legal Awards』で、アジア全域のなかで年間最優秀弁護士を受賞したこともあります。自民の選対幹部は『二世議員のなかでずば抜けて頭がいいだけでなく、腰が低い。あの高圧的な父からどうすればこんな子供が育つのか』と感嘆していました(笑)」
2017年の前回選挙では、塩崎恭久氏が、次点に3倍近くの差で圧勝した。今回も目立った対立候補はなく、「普通に選挙戦を戦えば選挙区で勝ち上がる」という声は強い。
次に注目されるのは、“殿様”の異名を持ち、4代目の政治家を目指すサラブレッド・川崎秀人氏(39)。7月10日、三重2区より出馬表明した秀人氏の父親は運輸相や厚労相などを務めた川崎二郎衆院議員(73)だ。秀人氏は法政大学経済学部卒業後、NTTドコモに就職したが、2017年7月末に退社した。前出・デスクが言う。
「2017年から父の地元秘書になり、後継を意識して4年間、地元と東京を往復してきました。自民の三重県議は『実務能力が高く、物腰も穏やか』と評していました。地盤の伊賀市は、100年近く川崎家が衆院の議席を占めています。曽祖父の川崎克は生前、私財を投じて伊賀上野城を再建したことから、川崎一家は“殿様”という異名がついているのです」
また、地元記者はこう言う。
「父親の二郎さんはもともと話が上手い人じゃないし、息子さんも口が達者なほうではなかった。でも、出馬会見の話ぶりをみると以前よりも成長したという印象ですね。二郎さんは小泉家を意識しているんです。小泉家は、進次郎氏が4代目で、秀人さんが当選すれば、それに並ぶわけです。だから、絶対に息子の秀人さんに継がせたいと思っていました」
最後の注目候補は“安倍前首相の秘書”だ。7月16日に、立候補が正式決定した長崎1区の初村滝一郎氏(41)は、11人の公募のなかから選考された。滝一郎氏は安倍晋三前首相の政策秘書で、父親は元日本新党の初村謙一郎元衆院議員(67)。大阪芸大卒業後の2004年から一貫して安倍晋三事務所に勤めていた。前出・デスクが言う。
「滝一郎氏の祖父・滝一郎氏(同姓同名)と父はともに、長崎地盤の国会議員でした。長崎の自民党はもともと、この初村系県議と元長崎県知事(現参院議員)の金子原二郎系の県議の2派があり、今回、突然引退を表明した富岡勉氏は金子系でした。初村系は主流派を奪還したくて、初村直系の滝一郎を口説いて出馬表明させたということです」
また、ある細田派議員の秘書はこう話す。
「滝一郎と奥さんの媒酌人は安倍晋三夫妻。滝一郎の父・謙一郎さんと晋三さんは、南カルフォルニア大学の留学仲間で、若いころから親しい間柄です。『いつか政治家をやらせるから、議員会館で勉強しろよ』ということで、2004年から晋三さんの事務所に入りました。2020年の『桜を見る会』のときも政策秘書でしたが、会計業務などは担当していなかったため、党内で“シロ判定”が出て、出馬に至ったという経緯があります。ただ滝一郎は、3回生以下の議員に対しては“上から目線”で、『俺は安倍晋三の秘書だ』という偉そうな態度が透けて見えるんですが(苦笑)」
世襲だらけの自民党。批判は重々承知で打って出るだけあって、バトンを受け継ぐ気は満々のようだ。