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疑惑のiPS・森口尚史 医師免許なくても「法的には問題なし」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2012.10.16 07:00 最終更新日:2016.03.01 22:55

 いまノーベル賞の山中教授よりも注目されているのが、自称・ハーバード大学客員講師の森口尚史氏(48)。読売新聞が1面で【iPS細胞から心筋の細胞を作り、重症の心不全患者6人に移植した】と報道したのが10月11日の朝刊。

 

 すぐさま多くの疑問が噴出した。 森口氏は《自分はハーバード大客員講師》《事前にハーバード大の倫理委員会から「暫定承認」を受けた》《治療はマサチューセッツ総合病院でおこなった》と主張した。

 

 だが当の大学と病院が全否定。なんでも「’99年から’00年をまたぐ約1カ月間、病院の客員研究員だった」だけなのだという!

 

 森口氏はニューヨークのロックフェラー大で開かれている学会でこの”研究”のポスターを貼って発表したが、学会にポスターをはがされてしまった。滞在中のホテルには日本の報道陣が押しかける。『移植はあったんですか?当日アメリカにいたというパスポートの記録を見せてください』と詰め寄られ、困り顔でうつむいてしまう森口氏の姿は何度もテレビで報じられた。

 

「医師免許は持っていない」という森口氏。確かに臨床研究なら法的に問題はないのだが……。

 

 それにしてもどうしてバレたのか?医学博士の米山公啓先生は言う。

 

「動物実験をすっ飛ばして現段階でiPS細胞を人間に移植することは理論的には可能だが、人体実験と同じなので実際にはありえない。発表で名前が上がる魅力はあるだろうが、調べればすぐにわかる捏造でレベルが低すぎる」

 

 また、内科が専門のある大学教授はこう話す。

 

「iPS細胞を臨床で使うためにいちばんのネックは、がん細胞になる可能性がゼロでないこと。山中さんたちが動物実験を繰り返し、来年、網膜から臨床を始めようかという段階だ。万が一のとき取り返しのつかない心臓に移植するには、あまりに時期尚早」

 

 倫理的にハーバード大の許可が出るはずもなく「移植」はなかった疑いが大。今回の騒動、唯一の”功績”は、結果的に山中教授のiPS研究への真摯さを知らしめたことか。

 

(週刊FLASH 2012年10月30日号)

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