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中国で「外国企業は出ていけ」ひっそりと大異変が起きていた

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.13 17:00 最終更新日:2017.01.13 17:00

中国で「外国企業は出ていけ」ひっそりと大異変が起きていた

 

 共産主義の中国らしい政策として話題になった「外国人来華工作許可制度」に、日本のみならず世界中の企業が頭を抱えている。

 

 中国に住むすべての外国人を年齢、学歴、年収、中国語のレベルなどでA~Cランクの3種類に格付けし、Cランクに位置付けられた人材は国外退去や居住制限などを行う可能性があるというもの。

 

 Aランクはノーベル賞級や国賓級の人材で、日本人駐在員の多くはBかCになる。制度は2016年11月に突如発表され、実施は2017年4月から。つまり、春から中国を追い出される駐在員が激増する可能性が高いのだ。

 

 日本企業の対中投資が激減するなか、日本人を狙い打ちした可能性もある。

 

 数年前から上海に駐在をしているAさんに話を聞いてみた。

 

「確かに以前から上海でビザを取るのは比較的難しかったです。学歴や特許の数などの詳細を経歴書として提出し、ビザ審査が行われていましたから。

 

 でも、そうした審査をパスして駐在している人が多いので、自分の周りではそれほど大騒ぎという雰囲気ではありません。他の地域のビザ取得はもっと緩かったので、そうしたところでは、上海より深刻にとらえられているかもしれませんね。でも……」

 

 Aさんによると、現地ではもっと大きな問題が起きているという。

 

 それは「大気汚染物総合排放標準DB31/933-2015」という上海市が制定した条例だ。悪名高いPM2.5の汚染をストップさせ、青い空を取り戻そうという試みだ。

 

 もちろん、その取り組みは素晴らしいのだが、その裏側には外資系の古い工場は捨てて、新技術を持った企業の工場を新たに誘致したいという思惑が見え隠れするというのだ。

 

「上海市の大気汚染基準はかなり厳しいので、それに適合できない多くの会社が最近バタバタと潰れています。日本の企業が狙い撃ちされているというより、外資系の企業はすべて厳しくチェックされています。2016年9月に杭州で行われたG20サミット以降、その流れが加速しているように感じます」

 

「世界の工場」と呼ばれ、圧倒的な人員数と安い賃金で各国からの工場を誘致してきた中国。「外国人来華工作許可制度」や「大気汚染物総合排放標準DB31/933-2015」は、古い人材と技術を大量に入れ替えるための布石なのかもしれない。

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