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ガラパゴスのナイトクラブ嬢「島に来たのはお金のためよ」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.15 20:00 最終更新日:2017.01.15 20:00

ガラパゴスのナイトクラブ嬢「島に来たのはお金のためよ」

 

 ガラパゴス最大の町プエルト・アヨラは、サンタ・クルス島にある。人口5000人。諸島全体の人口が約2万人なので、島民の4分の1がこの町に住んでいる。

 

 ガラパゴスの主要産業といえば、まずは観光業である。年間の観光客はおよそ17万人。入島するのにひとり100ドル支払うので、それだけで15億円ほどの税収になる。たいしたことないと思われるかもしれないが、本国・エクアドルの国力を考えれば、おそらく10倍くらいの価値はある。

 

 そのほかに漁業、そして意外にも木工業が盛んだ。町のあちこちで材木屋と家具屋を見かけるが、店主に聞いてみると「セドゥレーラ」というガラパゴス産の堅木やサボテンの木を使った木工品づくりが盛んなのだそうだ。

 

 経済不振が長く続く中南米諸国のなかで、知名度の高いガラパゴスは例外的に景気のいい島である。

 だから本土からの出稼ぎが多い。露天のにいちゃんによれば、「オレも1年前に来たんだけどさ、島民の半分以上は大陸からの出稼ぎじゃないかな」ということであった。

 

 試しにタクシーの運ちゃんに月給を聞いてみると1200ドルという回答。エクアドル本国の事務職で月給400ドルが相場らしいので、3倍の高給である。出稼ぎ希望者が島へ押し寄せるのもうなずける。

 

 一方で島への出稼ぎは厳しく制限されている。ガラパギータ(現地の女のコ)と結婚すると永住権が与えられるので、どの男も地元ギャルに色目を使っているそうだ。そう思うと、「進化論の島」も、けっこう普通の島だったりするのである。

 

「女のコ? いるともさ。町のハズレにナイトクラブがあるんだ」

 

 地元民しか行かないバーで飲んでいるとき、オーナーのイワン氏がグビリとビールをあおって言った。おお。やっぱりあったのだ! 世界遺産の島とはいっても、しょせんは人間が暮らす島である。数千人の男がいれば、女性も必要になろうというものだ。

 

 さっそく記者は店に出向いた。店内は薄暗く、大きめの卓が7つほど並んでいる。目をこらすと、けっこうな数のガラパギート(地元の男)で賑わっている。

 

 席について、女のコを2人指名。やって来たのはアニソンちゃん(26)とニコルちゃん(25)。アニソンちゃんはちょっと太め。ニコルちゃんはさっき舞台で踊っていた女のコで、かなりレベルが高い。

 

 ニコルちゃんと少々身の上話をしてみる。彼女は大都会のグアヤキル出身である。島に来たのは「お金のためよ」と割り切っている。まだ1週間しかたってないが、契約は1カ月間である。島を出たらチリに働きに行くそうだ。同じスペイン語圏なので、出稼ぎもラクらしい。

 

 世界遺産の島「ガラパゴス」は、儲かる島として、エクアドル全土から労働者を集めていたのだ――。

 

取材・中山茂大、写真・阪口克

(週刊FLASH 2011年3月15日号)

 

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