社会・政治
東京五輪に向けて「監視社会化するニッポン」是か非か
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.16 06:00 最終更新日:2017.01.16 09:00
2014年12月、愛知県警は車の底部にGPS端末を3カ月半にわたって取りつけていたとして、損害賠償請求を起こされた。
「訴えたのは窃盗事件の容疑者です。県警は令状もなくGPSを取りつけました。名古屋地裁の1審(2015年12月)、2審の名古屋高裁(2016年6月)ともに『プライバシーを侵害し違法』の判決が下されました」(ジャーナリスト・今井良氏)
公安警察に詳しい弁護士の清水勉氏は、公安の捜査手法を拡大すれば「監視社会」につながると指摘する。
「2015年に総務省のルールが変わり、警察がスマホのGPS位置情報を捜査で入手する際、本人に通知する必要がなくなりました。これでは、自分が監視されていてもわかりません」
2016年の参院選直前には大分県警が、連合大分などが入る施設の敷地内に無断で監視カメラを設置していたことが発覚。愛知・大分とも刑事部の不祥事だが、公安の手法を思わせる。
「公安は『基礎資料』を作っています。鉄道がらみの事件に備え、鉄道マニアがどこに住んでいるかという情報まで集めるし、マニアが集まるイベントに行って撮影もします」(ジャーナリスト・真田創一郎氏)
ふとしたきっかけで、普通の市民までが監視対象になるのだ。しかし、公安の存在がテロや犯罪の抑止力になるのも事実だ。
2015年11月、韓国人の男が靖国神社のトイレで爆弾を爆発させた事件が起きた。男は監視カメラで行動を把握され、その後、警視庁公安部により逮捕された。テロの拡大を未然に防いだといえる。
かつて東京地検で公安部長を務めた、衆院議員の若狭勝氏は、テロの危険性を深刻に訴える。
「東京五輪・パラリンピックに向けて大規模テロが起きる可能性は、少なからずあると思います。五輪などはテロリストにとっても、自分たちをアピールする最大のイベント。リオでもテロの危険性が指摘されましたが、ブラジルよりも経済大国・日本でやったほうが効果は大きいといえます」
同じく警鐘を鳴らすのは、元警察官僚の亀井静香衆院議員だ。
「俺の経験から言っても、少人数のテロを目的に、死を覚悟したヤツを見つけることは不可能。『断固、テロと戦う』と景気のいいことを言ったって、逆にやられるだけだよ。それよりも、連中がテロをやる前に捕捉する。そのために、予算をつけて人員も増やして、警備・公安を強化しなきゃダメなんだ」
公安警察は国民の「正義の味方」か、それとも「秘密警察」か。答えは簡単に出せそうにない。
(週刊FLASH 2016年12月13日号)