社会・政治
写真が伝えるアフガンの惨状…市場で男性が公開鞭打ちの刑、故・中村哲医師の「ペシャワール会」も休業に
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.08.24 06:00 最終更新日:2021.08.24 06:00
「今年の春から、政府軍支配地域が次々とタリバンに制圧されました。しかし、バイデン米大統領は米兵の撤退を急ぎました。多くの識者が、米軍なしでは『タリバン政権が生まれる』と指摘していたにもかかわらずです」
そう話すのは、アフガニスタンの取材を続けるジャーナリストの西谷文和氏だ。
【画像あり】男性がタリバンによって公開鞭打ちの刑に…写真が伝えるアフガンの惨状
アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは、8月15日に首都カブールを制圧し、政権を奪取した。2001年、9・11テロ事件を発端とするアフガニスタン戦争で崩壊して以来、20年ぶりの復権となる。
「現地通訳を介して聞くと、カブール市内は、混乱の極致にあります。タリバンから逃れてきた人々の難民キャンプが市内に点在し、亡命をするために米軍輸送機にしがみつき、落下して亡くなる方がいる一方、恭順を示すためにタリバンの旗を掲げる一般市民も増えています」(同前)
アフガニスタンといえば、日本人医師の故・中村哲氏が結成した「ペシャワール会」がある。2019年に中村氏が銃撃され亡くなった後も、支援活動を続けていたが、15日からは現地での活動休止を余儀なくされているという。同会の古川正敏事務局長が、現在の様子をこう話す。
「現地の政治情勢については、会としてはコメントしません。中村医師が存命のころから、政治については関わらないというスタンスです。現地の灌漑用水事業や医療事業は攻撃されておらず、安全を確認でき次第、再開する予定です」
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、タリバンはペシャワール会を潰さないとみる。
「中村さんが銃撃された際、タリバンの指導部は関与を否定しました。むしろ自分たちを助けてくれる活動を、タリバンもありがたいと思っているはずです。とはいえ、現在は権力の空白期間。何が起きるかわかりません」
これまで過激なイスラム原理主義に基づき、女性の権利を著しく抑制するなどしてきたタリバン。今回の政権は違うものになるのか。
「海外向けにおこなった記者会見で、報道官は『人権を尊重する』などと語っていましたが、現地では公開リンチをおこなうなど、本質は変わっていません」(前出・西谷氏)
犠牲を強いられるのは、非力な市民だ。
(週刊FLASH 2021年9月7日号)