社会・政治
石破茂氏 二階幹事長と「横浜市長選」で急接近…禁断の “悪魔合体” で「第100代首相」へ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.09.07 06:00 最終更新日:2021.09.07 06:00
多くのマスコミが、この男の言葉を待っていた。
自民党の臨時役員会を終えた後、野田聖子幹事長代行(61)らを従えて、ぶら下がり取材の場に現われたのは二階俊博幹事長(82)だ。“カンペ” を右手に持っている。
そこには、菅義偉首相(72)の「不出馬表明」への想定問答として、こう記されていた。
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〈【問】事前に幹事長にご相談は――
【答】私も直前に聞いたところ〉
本当にそのとおりだろうか。すべては絶大な力を持つこの男の手のひらの上で、動いているとしか思えない――。
9月3日に菅首相は突如、次期総裁選への不出馬を明らかにした。つまりは首相の座を自ら退くということだ。総裁選は完全な “白紙” に戻った。
いち早く出馬意欲を示していた高市早苗前総務相(60)の陣営は、慌ただしく動いた。
「有力候補が続々と出馬するとなれば、手のひらを返す人も出て、20人の推薦人は集まらないと恐れていた。だが、安倍晋三前首相(66)からの支援を取りつけられそうだ。“神風” が吹いた」(高市氏に近い関係者)
政治ジャーナリスト・角谷浩一氏はこう展望する。
「大乱戦です。これからワイワイと候補が出てくるでしょう。しいて言えば、岸田文雄前政調会長(64)が軸ですね」
自身の派閥「岸田派」を持つ岸田氏。だが、そんな岸田氏の優勢に待ったをかけるのが、二階幹事長だという。
「二階さんと岸田さんの関係は最悪だよね。昨年も当時政調会長だった岸田さんが取りまとめた給付金案を、二階さんが公明党も動かして『国民一律10万円給付』に転換させた」(自民党中堅議員)
岸田氏も「党役員は1期1年、連続3期まで」と発言し、在任5年超の二階幹事長を暗に批判した。だが、盾突かれた二階幹事長も黙ってはいない。自民党関係者は語る。
「今回の菅総理の不出馬を受けて、二階派は一からまとまって石破茂元幹事長(64)を担ぐことになるようです」
現在、総裁選には河野太郎ワクチン担当相(58)も出馬意欲を表明し、推薦人の確保が確実視されている。
「二階氏は『岸田・石破・河野・高市』の接戦で、まずは岸田氏潰しを目論んでいる」と前出・自民党関係者は話す。
「石破氏が総裁になれば言うことはない。もし、石破氏が最初の投票で3位以下になったとしても、岸田氏が残った決選投票では、二階派と石破派を動かして二階氏がキャスティングボートを握ることができます」
2020年9月の総裁選で石破氏は、菅首相と岸田氏に敗れ、3位に沈んだ。世論調査では圧倒的な人気を誇るが、石破氏自身も「安倍総理の責任に言及し、(2009年の麻生太郎政権では)麻生総理に進退を問い、一身に恨みを買うようなこともしてきた」(「サンデー毎日」2020年9月13日号)と自覚するほどの “政界の嫌われ者” ぶりが敗因だった。
その彼が、いま自民党支持者からすら “諸悪の根源” と罵声を浴びせられる “嫌われ者” の二階幹事長と組むのか。
「1983年に初当選した二階さんは、当時田中派の職員だった石破さんの面倒を見ていた。それくらい古いつき合いなんです。石破さんは3カ月に一度ほどのペースで二階さんと会食をし、関係を保っていた。
今回の総裁選でも二階さんの側近・林幹雄幹事長代理(74)を通じ、『いまは手を挙げるな。もう少し様子を見て、ギリギリまで待て』とアドバイスをもらい、二階さんと意思を共有しているんです」(自民党担当記者)
今年8月には二階幹事長の心に “石破支持” を決めさせた出来事もあったという。
「小此木八郎氏(56)が敗れた、菅総理の地元・横浜市長選で、石破氏は8月17日、21日と2日も応援演説に出向いたんです。これが二階氏の中で『石破は横浜市長選で人一倍、汗をかいた』という高評価なんです。そして、演説の聴衆の集まり具合を見て、“石破人気” を再認識しました」(政治部デスク)
衆議院議員任期満了まで約1カ月半。二階派関係者は「おそらく二階さんは政界引退する。三男に議席を継がせようと動くだろうが、本人はもう疲れたのではないか」と話す。
だから今回、「総裁選で誰を担ぐのか」は二階幹事長個人としても重要事項だった。前出の自民党関係者はこう話す。
「今後の自民党が細田派、麻生派の主導になると二階派(志帥会)は潰されるでしょう。もし二階氏が引退後も党内に影響力を残そうと思ったら、派閥を託せる人物が必要になる。二階派を石破氏に禅譲するのでは、なんて声まで党内では出ていますよ」
“勝ち馬” の探り合いも、石破氏の追い風となりそうだ。
「菅総理は河野氏を支持する意向です。しかし、退陣を表明してもなお、世論から猛批判を浴びている菅総理が『後継指名した』となれば、河野氏に流れる議員票は減るでしょう。状況は石破氏有利に傾いていますね」(自民党若手議員)
強烈なもの同士を組み合わせる “禁断の一手” をネットスラングで「悪魔合体」という。第100代首相を決める総裁選を前に、“永遠の有力首相候補”は最大のチャンスを迎えている――。
(週刊FLASH 2021年9月21日号)