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今秋は市街地にも襲来! 専門家が警告「サルは襲われたらクマより危ない」「絶対に目を見るな」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.09.30 12:20 最終更新日:2021.09.30 12:23

今秋は市街地にも襲来! 専門家が警告「サルは襲われたらクマより危ない」「絶対に目を見るな」

 

 2021年は野生動物による人間への被害が相次いでいる。全国でクマによる被害が急増し、死傷者は8人。1964年と並ぶ過去最多を記録しそうな勢いだ。ツキノワグマもヒグマも危険生物であり、クマ撃退スプレーが売上好調など、意識も高まってきている。

 

 また、スズメバチの被害も全国で報告されている。秋ごろには巣がいちばん大きくなり、繁殖のピークを迎える時期。また、9月~11月ごろは来年女王となる新女王が誕生し、働き蜂が活性化して人への被害が増えるのだ。

 

 

「クマやスズメバチだけでなく、イノシシやニホンザルも人間にとっては脅威になります。殺傷能力では劣りますが、イノシシにぶつかられて太ももを牙が貫通したり、ニホンザルに噛まれた、引っかかれたなどの被害も毎年起きています。この時期は繁殖期でもあり、餌を求めて人里に降りてくる動物も多いので注意が必要です」(地方新聞紙記者)

 

 最近では8月ごろから埼玉県、東京都内で相次いで目撃されていたニホンザル。9月には品川区の武蔵小山や大田区の田園調布、世田谷区の二子玉川などの市街地に出没するなど話題となっていた。同一個体かどうかは不明だが、最終的に9月22日、羽田空港の敷地内の建物で捕獲されることとなった。

 

 航空機の格納庫に潜んでいたサルは、部屋の中を約5時間走り回り、修理用の機材の一部に配線をかじった跡が見つかったという。捕獲後は大田区区役所から環境省へ連絡、そこから茨城県石岡市にある動物園、「東筑波ユートピア」へ引き取られることとなったという。

 

 動物生態学に詳しい石川県立大学教授の大井徹教授に話を聞いた。

 

「捕獲されたサルは野生の個体で、群れから離れた若いオスですね。体の大きさや生殖器から推定すると3~4歳でしょう。オスの場合は3歳から4歳になると、自分の生まれた群れを出て放浪の旅に出るんです。そして新しく自分が生活できる群れを見つけて潜り込み、メスと子供を作るんです。

 

 その後、また数年で放浪するというのを繰り返します。交尾期(だいたい9月ごろ~翌1月)になると発情しているメスを探してウロウロするので、今回のサルはそういった放浪の途中だったんでしょう。メスは普通、自分の生まれた群れを出ないんです。母系社会ですからね。まれにメスも単独で行動しますが、多くは飼われていた飼育個体ですね」

 

 今回のサルのように、群れからはぐれた若いオスが住宅地に出没することは多いという。実際にサルと遭遇した場合、どうするのが正解なのだろうか。

 

「珍しい、可愛いと近づいたり餌を与えたりしてはいけません。人間は餌をくれるものと学習してしまいます。驚いて大声を上げるなどしてサルを刺激すると、噛みつかれたりする危険があります。また、近くにいても目を見つめてはいけません。サルへのアイコンタクトは“威嚇のサイン”になります。見られたサルのほうは威嚇されたと判断し、負けじと威嚇してきて危険な状況になります。目を見ずに、静かにゆっくり遠ざかるのがいちばんです。

 

 さらに、サルは犬歯が鋭いですし、雑菌なども持っていますので、噛まれると感染症にかかる危険もあります。秋の行楽シーズン、登山やハイキングでサルに遭遇することもあるでしょう。まずは餌を絶対に与えない。遠くから静かに眺めるだけにしましょう」

 

 クマなどと同じく、ニホンザルは「人の生命、身体又は財産に害を加える恐れがある動物」として、特定動物に指定されている。近所に出没したとしても、うかつに近づいたり、インスタ映えを狙って写真を撮るのは非常に危険。速やかに警察や消防に通報するべきだ。

 

 サルはクマより遭遇率が高いのは間違いなく、あくまでも「野生動物」であるという認識を持つのが大切である。今後も都心や繁華街に現われない保証はないので、“危険な動物”であるということをお忘れなくーー。

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