社会・政治
岸田首相、パーティ収入は1億4800万円…衆院全289選挙区「資金力」調査で堂々全国1位
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.10.30 06:00 最終更新日:2021.10.30 06:00
「ランキングから、政治家の影響力が見えてきますね」
政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之(かみわきひろし)教授は、こう語る。このランキングは本誌が政治資金収支報告書を調査した結果、判明したものだ。
10月31日に投票がおこなわれる第49回衆議院議員総選挙。本誌はその小選挙区の候補者のうち、2020年に「国会議員」として政治資金収支報告書が公表されている計386人について、関係政治団体の収支をまとめて調査。各候補が複数の団体を設立している場合、政治資金規正法で規定されている「国会議員関係政治団体」のみを対象にした。
【関連記事:岸田首相「33万円腕時計」は高いのか安いのか…SNSで論争勃発】
「総収入」は、政治団体の収支報告書に記載されている〈本年の収入額〉を政治家ごとに合計したもの。
「パーティ収入」は、収支報告書の収入内訳で〈機関紙誌の発行その他の事業による収入〉項目に記載された収入の合計額で、政治家が開く政治資金パーティの収入額はこの項目に記載される。冒頭で上脇氏が言及するのは、これを今回、上位からランキング集計したものだ。
これを見れば、政治家としての “稼ぐ力” がわかるというわけだ。なんと全国1位になったのは、就任したばかりの岸田文雄首相(64)だった。1億4800万円と圧倒的だ。
「都市部なら2万~3万円、地方で1万~1万5000円の相場でパーティ券は売られていますが、一般の人には馴染みがないでしょう。買うのはおもに政治家に頼み事がある企業などです。企業は実力のない議員のパーティ券を買っても仕方がありません。
パーティ券を売りさばける議員は党内でどんどん影響力を増し、さらに重要なポストに就く結果、企業は自らの要望を実現してもらいやすくなる。そんな相互関係ができていると思います」(上脇教授)
岸田首相の場合、「新政治経済研究会」の1団体だけを見ても、2018年12月~2019年12月に9回のパーティを開催している。2019年12月12日に東京都港区のホテルで開催したパーティでは、3317万9340円の収入に対して、支出は255万7857円。差額の3062万1483円が、そのまま政治資金となった。
9月の総裁選に出馬したほかの候補を同様のランキングで見ると、野田聖子氏(61)は14位だが、河野太郎氏(58)が64位、高市早苗氏(60)が75位と、国民の想像以上に岸田首相とほかの3名では、党内の影響力に差があったようだ。
上脇教授が指摘した相互関係のとおり、与野党間でも資金力の差が見えてくる。
自民党以外で上位30人に入っているのは、無所属の下地幹郎(みきお)氏(60)が11位、立憲民主党の岡田克也氏(68)が15位、国民民主党の古川元久氏(55)が16位で、この3人のみ(22位の田野瀬太道氏は2021年2月に離党するまで自民党)だ。
ちなみに、立憲民主党の枝野幸男代表(57)は257位だった。
政党別に「パーティ収入」の平均額を算出すると、自民党が約2877万円、野党第一党の立憲民主党が約657万円と、大きな開きがある。
「企業による政治家への寄付は、年間5万円を超えると、収支報告書に支出者が記載がされます。しかし、パーティ券の場合は一度の開催で購入額が合計20万円を超えない限り、年間に何度購入しても収支報告書に支出者が記載されません。
つまり、癒着を生みやすい “おいしい寄付” になっていて、政治資金パーティは与党にお金が集まるシステムなんです」(上脇教授)
このランキングで占うと、 “次期首相” は2位につけた西村康稔氏(59、1億2700万円)。新型コロナ禍で約2年、政治資金パーティも自粛中。2019年に稼いだ「資金」は今後の出世の武器になるかも。
(週刊FLASH 2021年11月9日・16日号)