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秋篠宮さま会見で憲法学者が感じた“戸惑い”…「国民から押しつけられた“あいまいな地位”ゆえの苦悩が…」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.12.04 17:53 最終更新日:2021.12.04 17:53
11月30日に、お誕生日会見をおこなわれた秋篠宮さま。週刊誌報道やネット上の誹謗中傷への批判、小室圭さんの「文書」への疑問、皇族の「公と私」など、いくつかの “問題提起” をされた。
これに対し、皇室ジャーナリストやメディアは、「皇位継承順位第一位の方として特定の相手を批判するのは一線を越えられた」「公よりも私、自由を重んじられている」といった厳しい論調だった。
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皇族の正しいあり方とは何だろうか。憲法と皇室典範の関係に詳しい、東京都立大学法学部教授の木村草太氏が皇室を考える際の重要な視点について指摘する。
「秋篠宮さまの会見から感じられたのは、ご本人は非常に不条理な空間に置かれて戸惑っている雰囲気が滲み出ていたということです。
というのは、国民のほとんどが天皇制はなぜあるのか、皇族の役割は何かを理解していません。私たちが天皇制を理解していれば、秋篠宮さまもご自身は何のためにここにいて会見するのだとはっきり言えるのですが、そうではなく、何のためにあるのかがあいまいな地位を押し付けられ、何が正解かわからないからクリアに答えられないという秋篠宮さまの苦悩が伝わってきました。
これは『公と私』の問題でも同様です。天皇制の位置づけ次第で、皇族の『公と私』の関係の捉え方も大きく変わってきます。皇族の婚姻がパブリックな意味をもっているのかどうかというのは、天皇制が何のために置かれているのかということを考えないと答えは出ないのです。天皇制の目的が定まらないと、皇族もどう振る舞っていいのかわかりません。
そう考えると、明治憲法下では、『天皇は天祖の慰霊を顕し日本国民を統一するためにおられるのだ』とか、『天皇は統治権の総覧者としてこうあらねばならない』という議論ができました。現代では通用しませんが、何のために天皇があるのか、明解な議論にはなります」
天皇制の理解のために、2つの考え方があるという。
「1つは、天皇制は消極的機能を果たすための制度だという理解です。天皇の歴史的権威は、民主政治のかく乱要因になるので、国民の代表が信任する内閣によってコントロールしなければならない。だから、憲法に天皇制を置いて、政治的権能を否定し、内閣の助言と承認のもとでのみ国事行為をおこなう地位に止めるのだ、ということですね。
この理解からすれば、天皇の権威や品位を積極的に維持する必要はないですし、婚姻に伴う皇室のイメージの変化にも気をつかわなくてよい。勝手にどうぞ、ということになります。
他方、もう1つの理解は、天皇制は統治の正統性を補完する積極的機能を果たすための制度だという理解ですね。
日本は国民主権国家なので、立法や行政の正統性は、全て国民主権原理によって調達しなければなりません。立法は『国民の代表が決めたから』、行政は『国民の代表が信任する内閣がやっているから』という理由で正統化されます。
ところが、国会議員や大臣が不祥事ばかり、国民の選挙の投票率はすごく低い
というような状態になると、国民主権原理に基づく正統性が低下します。
ここで『この法律は天皇が公布しました』、『首相は天皇が任命しています』といった歴史的正統性の補完をするために、天皇があるのだ、と理解するわけです。
こう理解すると、皇室の権威や品位を維持するために、いろいろ努力が必要になるし、婚姻もどうでもいい問題ということにはならない。皇室の女性の婚姻に強い関心を寄せた人たちは、国民主権原理だけでは統治の正統性が確保できないという、国民主権に不安を抱えているのかもしれないという分析ができます。
国民は、このどちらの機能を選び取るのかを考えて、皇室に関わる問題に答えを出してほしいと思います。メディアもそういう選択の基軸を示す報道をもっとすべきだと思います」
天皇の存在を認めているのは私たち自身だが、その意味の説明を求められると言葉に窮する人も多いだろう。小室さん眞子さん結婚の過熱報道を機に、皇室についての議論を深めるべきだ。
( SmartFLASH )