社会・政治
トンネル崩壊、地下鉄水没…大地震で東京は「生き埋め地獄」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2013.08.30 07:00 最終更新日:2016.03.01 22:17
「今年は関東大震災からちょうど90年です。ぼくらは昔、関東地方はあと100年は地震がこないといわれてきましたが、3・11で大きな地殻活動が起きていますから、相模トラフの地震も早まる可能性がある。それこそ、そう遠くない将来に関東を直撃する地震が再来するんじゃないでしょうか」
こう話すのは、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏だ。東日本大震災以降、多くの地震予知・被害想定情報が流れたが、もっとも衝撃的だったのは、’12年8月に政府の有識者会議が公表した南海トラフ地震の予想だった。
南海トラフは東京湾から九州沖まで続く地溝のことだが、どこで地震が起こるかはわからない。仮に東海地方が大きく被災した場合、最悪で死者32万3000人、負傷者62万3000人、全壊(焼失)建物238万2000棟という、想像を絶する被害が算出されたのだ。そして、今年3月には最悪で被害総額220兆円に上ると発表されている。
では、首都直下型地震はどうか。政府は現在、震源地が異なる18タイプの首都直下型地震を想定しているが、最悪の場合、85万棟が壊滅し、死者約1万1000人、約460万人が避難所生活を強いられるという。渡辺氏は次のように語る。
「東京を大地震が襲えば、非常に大きな被害になるでしょう。とくに気をつけるべきは地下鉄で、トンネルが崩落し、あふれ出した地下水で大きく浸水するはずです」
まさに生き埋めだというのだが、いったいどういうことなのか。じつは、かつて東京では大量の地下水を取水したために地盤沈下が起き、現在では取水規制がかけられている。その結果、場所によっては地下水が60メートルも上がってきているのだ。
「乗客の皆さんは知らないでしょうが、JR東京駅の地下5階にある総武線快速・横須賀線ホームは、地下水の浮力で浮いているんです。それで、重さ200キロの鋼鉄製の棒状アンカー70本を重りにして固定しています。東北新幹線の上野駅地下4階ホームも同様に浮いており、こちらは重さ2トンの鉄塊1万8000個と鋼鉄製の棒状アンカー約1000本で固定しているんです。もちろん、地下鉄も似たような状況です」
地下水はポンプで排水できるが、地震で停電したら排水できなくなる。仮に水没を免れたとしても、地下は暗闇になるし、迷路になる。駅員は人員削減で減っているから、地下に取り残される人も増えるだろう。さらに地下街は火災による煙の問題もある。渡辺氏はこう続ける。
「地震の後には、津波もきますからね。東京なら大手町が水没するし、大阪では津波が淀川をさかのぼり、大阪城まで水浸しになる。もちろんそこにも地下鉄が走っていますからね。水止板なんか75センチくらいしかないので、まったく役に立ちませんよ」
(週刊FLASH 2013年9月10日号)