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“ナチス研究者”舛添要一氏が維新も菅氏もバッサリ「ヒトラーが蘇ったら怒るはず」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.01.29 20:00 最終更新日:2022.01.29 20:00
「今の日本と当時のドイツではまったく環境が違いますからね。比べられないものを比べても仕方がない」
政党を巻き込んだ “大喧嘩” に、専門家として冷や水を浴びせるのは、元東京都知事の舛添要一氏だ。
“喧嘩” の発端は、1月21日に立憲民主党の菅直人元首相が橋下徹氏の名前をあげたうえで、維新の会について《主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす》とツイートしたこと。
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これに激高したのが吉村洋文大阪府知事や松井一郎代表など維新の会の面々。「誹謗中傷を超えた侮辱」だとして、26日には藤田文武幹事長が立憲民主党の泉健太代表宛ての抗議文を提出し、謝罪と撤回を要求した。
一方の菅元首相は、抗議に取り合う様子は見せず、《(維新の会に)低所得者層の人達が共鳴し、支持を広げたとの分析が有力》とツイートするなど、対決姿勢を崩さぬ構えだ。
『ヒトラーの正体』(小学館新書)を上梓するなど、じつはナチスドイツの専門家でもある舛添氏は、両者を断罪する。
「もしもヒトラーが蘇ったら『橋下みたいな小物と俺を比べるな』と怒るんじゃないかな。まず、弁舌が巧みな奴がみなヒトラーだと言うなら、橋本氏より演説のうまい政治家はいくらでもいますからね。たとえば小泉純一郎氏のほうがよっぽど演説はうまかったんじゃないかな。それでも、ヒトラーと比べるとケタが違う。
ヒトラーは街頭演説であそこまでのし上がった男ですからね。俳優を雇って演説の振り付けをしたり、何時に演説をすれば効果的なのか研究したり。それでドイツ全土で支持を集めたわけです。一方、橋下氏はテレビのおかげでしょう。テレビに出演し、知名度があるから人が集まるだけです」
さらに、政党としての維新の会もナチスとはまったく違うと指摘する。
「ヒトラー率いるナチスの政策は明確でした。ベルサイユ条約で失った領土を取り戻そう、再軍備しよう、失業で苦しいから公共事業で職を与えよう。そして、ドイツ国民が苦しんでいるのはユダヤ人の影響だ……などね。
それに比べて、維新の政策は何ですか。野党と言いながら自民党にすり寄るヌエのような存在。与(よ)党でも野(や)党でもない “ゆ党” だから、なんとなくうまくいっているだけですよ。
自民党はひどいし、野党も話にならない、消去法で選ばれた政党です。その証拠に、維新の会のいちばんのメインの政策である、大阪都構想は結局、否決されているわけですから」
今の日本に、ヒトラーという独裁者が生まれる素地はないという。
「大衆が行きつくところまで行くのは、本当にメシが食えなくなったときなんです。ヒトラーが勃興した当時のドイツは、今の日本とは比べられないくらいひどい状態でした。一方で今の日本は、コロナ禍で苦しいとは言っても、飲食店に協力金が出ているように、基本的には死なないで済む。
戦前のドイツは一時、アメリカが投資するなどして相対的に経済が安定した時期もあったんです。そのときは、共産党とナチスの議席は激減したんです。左右の極端な政党が支持を失った。
結局、1929年の世界大恐慌で、またメシが食えなくなって、そこから共産党とナチスが勢力を伸ばし、最後はナチスが勝ってしまったわけですけどね。
菅さんも、“ヒトラー” なんて持ち出さず、正面から維新の政策のなさを批判するべきですし、維新の会が抗議文を出したというのも、参院選前の単なるパフォーマンス、宣伝活動でしょうね」
野党同士の醜い争いでいちばん得をするのは岸田首相だったりして……。
( SmartFLASH )