中国の爆買いが止まらない。観光客の買い物ではなく、サッカー選手の移籍の話だ。2016~2017年シーズン冬の移籍市場では、各国の代表選手を大金で引き抜き話題となった。
ブラジル代表のMFオスカルは6000万ユーロ(約73億円)という高額の移籍金で、中国スーパーリーグの上海上港に引き抜かれた。まだ25歳のオスカルは高額な年俸に惹かれて、世界中のトップ選手が集まるプレミアリーグのチェルシーから、発展途上の中国サッカー界へ移ったのだ。
元アルゼンチン代表のFWテベスも3800万ユーロ(約46億円)という年俸で上海申花への移籍が決まった。この金額は、サッカー界のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウドやレオナルド・メッシを超えるものだ。
こうした巨額の移籍金で、世界の大物選手を獲得するやり方には、一部から批判の声が出ている。オランダの代表主将であるロッベンは中国でプレーすることを「キャリアの終わりを意味する」と表現して、嫌悪感を示している。
なぜ、これほどまでに中国は大物選手に固執するのか――その理由は習近平国家主席が大のサッカーファンだからだとささやかれている。
2015年には「中国足球改革総体方案」を承認した。これはサッカーを体育の授業に取り入れる小中高校を2025年までに5万校まで増やす計画だった。翌年には「2020年までに10万校」と目標が倍増され、サッカーの強豪国を目指すという強い意志を示した。
さらに大きな目標も掲げている。2030年には中国でのワールドカップ開催を目指し、2050年で優勝を目標にしているといわれるのだ。
とはいえ、最新のFIFAランキングでは、中国は86位。また、2018年にロシアで開催されるワールドカップ最終予選では、グループAの6位と最下位にとどまっており(3月9日現在)、よほどの奇跡が起きなければ出場は難しい状況だ。
しかし、大物選手を獲得して国内リーグ全体のレベルアップを図っていけば、いずれは世界のトップチームへと変貌を遂げるかもしれない。中国サッカー界の動向から目が離せない。